”英国のEU離脱”Brexit(ブレグジット)などでも注目されるEUですが、英国のブリテン島の西に位置するアイルランド島で生産される、穀物を原料とするウイスキーが、アイリッシュウイスキー(Irish whiskey)です。
ウイスキーの発祥の地はスコットランドと思われがちですが、12世紀にはすでに穀物から蒸溜された酒が飲まれていたといわれるアイルランドが、実はウイスキー発祥の地です。アイルランドで飲まれていた酒が移民と一緒にスコットランドにのちに伝わったといわれています。
アイリッシュウイスキーは、主にストレート・アイリッシュ・ウイスキーとストレート・ブレンデッド・ウイスキーの2つのタイプに分けられます。
大麦麦芽、未発芽の大麦、ライ麦、小麦などを混ぜて原料とし、大型の単式蒸溜器で3回蒸溜、そして溜出液の中溜部分を樽詰めして熟成したものをストレート・アイリッシュ・ウイスキー(原酒)と呼びます。蒸溜を3回行うことで、平均85度という高いアルコール濃度となります。
1970年代半ばまでは、ストレート・ウイスキー(原酒)のヴァッティングで主に造られていたアイリッシュウイスキーですが、現在では、原酒は各種ブランドのベースとして使用され、トウモロコシを主体としたグレーンスピリットをブレンドしたタイプが主流となっています。
現在主流になっているようなブレンドタイプのアイリッシュウイスキーが完成したのは、150年ほど前と意外に最近のことです。当時、麦芽に高額の税金が課せられたため、麦芽の量を減らし、当時大量にあった大麦を使用することになり、これが結果的に大麦の芳香性が高いアイリッシュウイスキーの独自性を生み出しました。
アイリッシュウイスキーは、全般にスコッチウイスキーよりもライトで、他の国のウイスキーにない独特の深みと豊かな芳香性があるのが特徴とされています。
アイリッシュウイスキー~タイプ別特徴
アイリッシュウイスキーは専門家により多少異なりますが、下記の2タイプに大別されています。
アルコール分が平均85%と高濃度なため副生成物による雑味が少なく、スコッチウイスキーのモルト原酒に比べて軽いのが特徴。3年以上の熟成を経て穀物の香味が溶けたマイルドな味わい。
原料:大麦麦芽、未発芽麦芽、ライ麦、小麦など
製造法:単式蒸留器で蒸溜し、3年以上熟成させる。
味わい:穀物の香りが高く、なめらかな舌ざわり。
※アイリッシュ・ストレート・ウイスキーは、原酒としてブレンドに使われることが多く、原料が大麦麦芽だけの場合は、モルトウイスキーとも分類される。
ストレートウイスキー(原酒)をそのまま商品化する場合もあるが、生産量が多いのは、原酒にグレーンをブレンドしたより軽めのタイプ。ピートによるスモーキーフレーバーがない分、スコッチウイスキーのブレンデッドと比べて、すっきりした味わいとなっている。
製造法:アイリッシュ・ストレート・ウイスキーにグレーンウイスキーをブレンドする。
味わい:ストレートウイスキーより軽く、すっきりした味わい。
アイリッシュウイスキーの蒸溜所
ミドルトン
ブッシュミルズ
クーリー
キルベガン