ワインの用語では古くからワイン造りを行ってきたヨーロッパ各地を「旧世界」と呼ぶのに対し、北南米、オーストラリア、南アフリカなどは「新世界」と呼んでいます。
これは、15世紀にはじまった大航海時代に、スペインから貿易と植民地を求めて、ヨーロッパから多くの人々が移住した地域と重なります。
大航海時代、ヨーロッパからの人々の移住にともない、ワインもヨーロッパから新たな産地に広がっていきました。
これらの土地でのワイン造りの広がりについても、キリスト教の存在は大きく関わっています。
さらにブドウの木が、痩せた土地でも栽培しやすかったことも、新たな土地でのワイン造りが広まった要因の一つにあげられます。
アメリカ大陸には、スペインによってブドウが持ち込まれ、1551年にはチリ、その後アルゼンチン、メキシコ、ペルーに伝わりました。
一方、アメリカ・カリフォルニアでは1796年に修道士がワイン造りを始め、これが現在では、旧世界のワインに匹敵する高品質ワインを生産する隆盛の始まりとなりました。
南アフリカには、オランダからブドウが持ち込まれ、1659年にワイン造りが始まり、南半球のオーストラリアでは1788年に英国人の手によってブドウが上陸、ニュージーランドには1819年に伝わったとされています。
現在、ワインボトルには、ガラス瓶が使われていますが、出来上がったワインを消費者に運ぶ容器は、時代とともに移り変わっています。
古代ギリシャ・ローマで使われていた陶器「アンフォラ」という素焼きの甕は、割れたり漏れたりしやすく、その後、紀元前3世紀頃、西ヨーロッパで木樽が使われるようになりました。
そして、木樽はワイン容器としてや、発酵槽として盛んに使われるようになりました。木樽はアンフォラに比べ、持ち運びに便利ですが、運搬中に空気を通すので、味が落ちるのが難点でした。
現在のようなガラス瓶+コルク栓のスタイルが確立されたのは17世紀後半とされますが、その頃のボトルはタマネギ型で、19世紀にかけて胴部が円筒形へと進化していきました。ワイン容器がガラス瓶とコルクでの密閉に替わったことで、長期間のゆるやかな瓶内熟成が可能となりました。