ウイスキーのシングルモルトには、オフィシャルボトルとボトラーズブランドのふたつがあります。バーやリカーショップなどで同じシングルモルト名なのに、ラベルが違うボトルをみかけて、それってどうして?と思われた方も意外に多いかもしれません。
オフィシャルボトルは、蒸溜所がもつ瓶詰め施設、あるいは親会社の瓶詰め施設でボトリングされたものをいいます。それに対して、ボトラーズブランドは、瓶詰め・販売を行う業者が蒸溜所から「樽ごと」モルトウイスキーを買い付けて、それぞれの商品企画に基づいて、ボトリングして、自社ブランド名として販売させているものです。
すなわち、ボトラーズブランドは一言でいえば瓶詰め会社ですが、専門家による定義としては以下の通りとなっています。
・各蒸溜所または専門業者より、樽でモルト原酒を購入
・商品企画に基づき、自社で瓶詰め
・自社ブランド名の商品を、自社ショップ、もしくは代理店にて販売
ウイスキーの蒸溜、熟成、瓶詰めの全行程を蒸溜所が行っていると、一般的に思われがちですが、実は、スコットランドで瓶詰め設備を持っている蒸溜所はごく僅かしかありません。
また、ボトラーズブランドの中には、単に買い付けるだけでなく、蒸溜や熟成期間、アルコール度数なども決めて、蒸溜所に依頼してつくってもらう場合もあります。
ボトラーズブランドが存在することによって、オフィシャルボトルにはない、異なる蒸溜年、熟成年数のモルトウイスキーを楽しむことが可能となったのです。
主なボトラーズブランド
1895年、高級食料品店から転身し、創業されたスコットランド初の瓶詰め業者という老舗のひとつです。現在世界で最も知名度の高いボトラーズブランドといわれています。
ゴードン&マクファイル(通称GM社)では蒸溜したての原酒を買い付け、独自のシェリー樽に詰めて熟成させています。
膨大な古酒のストックを保有するGM社の在庫量の豊かさは随一で、様々な有名・無名蒸留所のアイテムを独自にボトリングしています。特にマッカラン蒸留所との深い関係は広く知られています。
グレンリベット1967、グレングラント1936、ストラスアイラ35年など、モルトファン垂涎のボトルが存在します。
1842年、スコットランド第3の都市アバディーンにワインとウイスキーのエージェントとして創業したスコットランド最古の独立瓶詰業者で、ゴードン&マクファイルと並ぶボトラーズ業界の雄といわれています。
1972年にスプリングバンク蒸溜所を所有するJ.&A.ミッチェル社の傘下に入り、現在の本拠地は、キャンベルタウンです。ケイデンヘッドでは、原酒に水を加えるなどの加工は一切せず、樽の中のアルコール度数のまま、瓶詰めする「カスク・ストレングス」が中心です。
グレンリベット1988 25年やマッカラン1969など、強い個性を求める人に人気があるボトラーズブランドです。
その他のボトラーズブランド
1988年創業の比較的新しい会社で、多彩なコレクションと一貫した製造技術で定評があります。
1992年にエジンバラで創業され、様々な熟成年数のボトルを揃える新星のボトラーズブランドとして注目されています。
ウイスキーの品質はもちろんのこと、コンピュータグラフィックを駆使した奇抜で芸術的なラベルがコレクターに評判となっています。
スコットランド・アバディーンにて設立され、1989年よりシングルモルトのボトリングを開始したボトラーズブランドです。赤字の社名と紋章が目をひくラベルデザインで、ボトリングされたウイスキーに関して、ウイスキー鑑定家のテイスティングノートが記載されているのが特徴です。