宮城峡蒸溜所は、宮城県仙台市青葉区にあるニッカウヰスキーのウイスキー蒸溜所です。正式名称は「ニッカウヰスキー株式会社仙台工場」といい、「ニッカウヰスキー仙台工場」「ニッカ仙台工場」「ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所」などとも表記されます。
また、北海道工場・余市蒸溜所と並ぶニッカウヰスキーの原酒工場である宮城峡蒸留所は、スコッチウイスキーの本場・スコットランドの風土に例えて「ハイランド余市とローランド宮城峡」とも表現されています。
東京から1時間半足らず、宮城県の山間部には、たくさんの温泉、山寺、サクランボ果樹園などが点在し、丘陵は森林に覆われ、深い谷間を縫うようにして河川が流れます。
日本のウイスキーの父、竹鶴政孝が余市蒸留所を建設してから約30年後、 「複数の異なる風土で育まれたウイスキーをブレンドすることが理想」と考えていた彼は、第2の蒸溜所を求め、仙台の街から西へ約25km、山形との県境に近い、この自然に抱かれた、美しい里山の安らぎの地「宮城峡」を、さらなる夢の実現に向けての新たな蒸留所の建設地に定めました。
宮城峡蒸留所が建設された地は、スコットランドの風土に似た、豊な自然に囲まれており、ここではピートの利いた重厚な余市モルトとは正反対の、ローランドのようなソフトで軽快、華やかな香りのモルトを生み出すことが求められました。そのための工夫のひとつがスチームを使った「蒸気間接蒸溜」です。 ポットスチルの底と釜の内部にめぐらせたパイプにスチームを通し、余市の石炭直火蒸溜より低温の約130度でじっくり蒸溜させます。
宮城峡蒸留所のポットスチルは、上部のラインアームは上向き、胴体部分に膨らみを持つバルジ型と呼ばれるものが使われおり、このポットスチル及び手法によって生まれたシングルモルトは、華やかでかつフルーティ、飲みやすくまろやかな味わいとなります。
また、宮城峡蒸溜所では世界的にも珍しいグラスゴーのブレア社製カフェ式蒸溜機が2機現役で稼働しています。カフェ式蒸溜機はイニアス・カフェにより発明された初期の連続式蒸溜機で、現在ではスコットランドでも見かけられなくなった蒸溜機です。 一般的な連続式蒸溜機より原酒に香味が残りやすいといわれますが、コントロールが難しく、限られた職人にしか扱えないというもので、ニッカウヰスキー西宮工場から、1999年に宮城峡蒸留所へ移設されました。主にコーンと麦芽を混ぜた原料を用いてグレーンウイスキーを蒸溜していますが、生産は限定的です。
シングルモルトの「宮城峡」、地域限定銘柄「仙台」のほか、カフェ式蒸溜機から、ニッカ社製のブレンデッドウイスキーに用いられるグレーンウイスキーなどが供給されています。
シングルモルト宮城峡
シングルモルト宮城峡 10年
シングルモルト宮城峡 12年
シングルモルト宮城峡 15年
シングルモルト仙台 8年
シングルモルト仙台 12年
ニッカ オールモルト など