ブドウ栽培の北限とされる、北緯52度を抱える高緯度帯に位置するドイツは、白ワインが生産量の半数を占める白ワイン大国です。ドイツワインの歴史は古く、ドイツでのブドウ栽培は、古代ローマの時代に始まったことが確認されています。
ドイツには「父なる河」と呼ばれ、古来、水運交易の大動脈を担ってきたライン川がありますが、ブドウ畑のほとんどがこのライン川やその支流の流域に位置しています。
収穫の秋には、気温差によりライン川から発生する霧が、寒さからぶどうを守ってくれるため、ブドウはゆっくりと成熟していくという特徴を持っています。
この自然条件を活かしつつ、独自の技術力をもって、他には類をみない「世界一美しいと称される酸」と「繊細な芳香」をもつドイツの土壌や気候に合わせたブドウの品種の開発が行われています。
ドイツで優れたワインが生み出されているのは、土地の自然を上手く利用した、人々の知恵によるものといえるでしょう。
かつてのドイツワインは、寒冷気候のため、栽培品種もそれに適したものに限定され、量産化重視で交配種が盛んにつくられていましたが、近年はリースリング種が再評価されるようになりました。
ドイツは気候条件の兼ね合いから、圧倒的に白ワインの種類が豊富ですが、現在は、特に高級ワインも含めて、高貴で華やかなアロマが特徴のリースリング種のブドウで造られるワインが主流となっています。
ドイツワインの公的な等級は、ワインの産地と糖度によって分けられています。
欧州準拠の原産地による4階級
ヨーロッパの規則に従い、ドイツでも4等級からなる原産地制度が導入されています。
フランスのAOCに相当する最上位のプレディカーツヴァイン(または略して「QmP」ともいわれる)、その下に指定地域優良ワインのクヴァリテーツヴァイン(または略して「QbA」ともいわれる)」、そして、ランドヴァイン(地酒)、ターフェルヴァイン(テーブルワイン)の4分類で、QmPとQbAのドイツ国内生産量が約95%を占めており、その品質の高さがうかがえます。
果汁糖度による6階級
ドイツワインの最上位のプレディカーツヴァインには収穫時の果汁に含まれる果汁糖度により6つの階級が設けられています。
収穫を待って、糖度を上げたことに対する評価で、糖度が上がると、ワインにしたときの残糖も多くなるため、上位=甘口となります。
①トロッケンベーレンアウスレーゼ
②アイスヴァイン
③ベーレンアウスレーゼ
④アウスレーゼ
⑤シュペトレーゼ
⑥カビネット
ドイツの銘醸地
ドイツ国内には地域指定優良ワイン(QmP・QbA)における13の特定生産地帯 (上級酒を造ることが認められている地域)があります。
Ahr アール
Mosel モーゼル
Nahe ナーエ
Rheinhessenラインヘッセン
Pfalz ファルツ
Mittelrhein ミッテルライン
Rheingau ラインガウ
Hessische Bergstrasse ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ
Baden バーデン
Wurttemberg ヴェルテンベルク
Franken フランケン
Saale-Unstrut ザーレ・ウンストルート
Sachsen ザクセン
このうち、ラインガウとモーゼルは、歴史や品質、人気などから、2大銘醸地と讃えられています。
辛口に関する階級
従来は、プレディカーツヴァインのカビネットや、シュペトレーゼという階級とともに辛口や中辛口がラベルに併記されていました。2000年度から、辛口ワインの正当な評価を行うために、ドイツ・ワイン法が改定され、新たにQmPの辛口ワインの新たな等級として、①指定地域まで限定されたクラシック、②畑まで厳選した、より上位のセレクションの2等級が公式に設けられました。
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