白州蒸溜所は、サントリーウイスキー誕生50周年を記念して、1973年、山崎蒸溜所に次ぐ第2の蒸留所として、山梨県北杜市白州町鳥原に設立されました。
甲斐駒ケ岳の麓に位置する白州蒸留所の敷地は約82万平方メートルと広大で、美しい森林に囲まれ、60種以上の野鳥が生息するバードサンクチュアリも設置された森の中の蒸留所です。
白州蒸溜所の標高は約700mという高地にあります。これはスコットランドのどの蒸溜所よりも高い場所に位置し、こんな山奥の高地に蒸溜所があるのは、世界的にも珍しいことといわれています。しかし、この高い海抜の澄んだ空気や、広大な森林の冷涼な気候によって、白州ならではの上質なウイスキーの個性を育んでいます。
また、豊かな自然に囲まれたこの白州という地は、良質でミネラル豊富な天然水にも恵まれています。
南アルプスの山々の懐に抱かれた白州蒸留所一帯は花崗岩層で、この岩層をくぐり磨かれてきた水はキレ味のある軟水で、白州蒸溜所のウイスキー原酒の貴重な仕込み水となっています。
サントリーミネラルウォーター「天然水南アルプス」もここ白州工場でボトリングされています。
ウイスキーの水割りをつくるのに最も美味とされるものは“マザーウォーター”と呼ばれるウイスキーの仕込みに使った水を使用したものといわれ、シングルモルト白州を天然水南アルプスで割れば、仕込み水の水割りになり、最良の組合せとなるのです。
トウヒ、松、カエデ、クヌギなどが溢れる森林の中にある白州蒸留所では、森の乳酸菌の働きを促すため、木桶発酵をやや長めに行い、フルーティで瑞々しいモルトウイスキーがつくられています。
白州蒸留所で生まれるモルトウイスキーは、ハーブっぽさ、松ヤニっぽさ、林底のようなフレーバーが特徴ですが、ピート麦芽での仕込みも行われているため、かすかにスモーキーな味わいもまた蒸溜所の個性となっています。
また、白州蒸溜所の熟成工程では、米国産ホワイトオークでつくられたホッグスヘッド樽やバーレル樽が中心に使用されていますが、その他パンチョン樽やシェリー樽、ミズナラ樽など形状やサイズなどが異なる樽を使い分け、原酒のつくり分けが行われています。そして、高い巧の技と豊富な経験を持つサントリーのブレンダーにより、様々な高い品質の味わいのあるウイスキーがここ白州蒸留所から生れているのです。
アルプス山脈の自然の恩恵を最大限に活かし、様々な試行錯誤によって、多様なウイスキー原酒を育くんできた白州蒸溜所の代表銘柄のひとつであるシングルモルトウイスキー「白州18年」は、2006年に、世界的権威のあるコンペティションISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で金賞を受賞し、その後も国際的なコンペティションで白州ブランドは数々の賞を受賞し続けています。
白州蒸留所データ
創立:1973年
所有者:サントリー
所在地:山梨県北杜市白州町鳥原
仕込み水:甲斐駒ケ岳を含む南アルプスを水源とする水
製造原酒:モルト
蒸溜方法:ポットスチル
最大生産能力:約700万リットル
見学:ビジターセンター、博物館、ガイドツアー、売店、バー