世界中に流通しているウイスキーには、オフィシャルブランドのボトルとアンオフィシャルブランドのボトルが存在します。
オフィシャルブランドのボトルとは、蒸留所もしくは蒸留所の系列会社でボトリングされて販売されるウイスキーです。蒸留所を意味する、ディスティラリーボトルとも呼ばれます。
一方で、アンオフィシャルブランドというのは、ボトラーズブランド(Bottler`s Brand)と呼ばれるもので、インディペンデントボトラー(独立瓶詰業者)が、蒸留所から樽ごと原酒を買取り、独自の貯蔵庫で熟成させ、瓶詰めして販売するものを指しています。
同じマッカランという銘柄のウイスキーでもオフィシャルであることもあれば、ボトラーズブランドである場合もあります。つまり、マッカランや、グレンリヴェット、グレンモーレンジなど、蒸溜所の名前が付いていても、オフィシャルボトルとは限らないのです。
ボトラーズブランドがあるからこそ、オフィシャルには存在しない様々な熟成年、蒸留年のボトルを楽しむことができます。
また、ボトラーズブランドは、オフィシャルブランドにはない、熟成年数、蒸留年のボトルを販売しているだけではなく、ブレンデッドウイスキーの原酒として仕様されるだけで、シングルモルトとして発売されていない蒸留所のボトルも販売しています。
スコットランドでは120を超える蒸留所がありますが、独自に瓶詰設備を持つ蒸留所というのは、スプリングバンク蒸留所とザ・グレンフェディリック蒸留所のみです。
それ以外の蒸留所は、専門業者や親会社に委託して瓶詰めを行っており、その原酒のほとんどをブレンド用に回してしまい、自社製品を出していないところが多いという背景があります。
ボトラーズブランドがあるからこそ、こうしたオフィシャルボトルには存在しない蒸溜所のモルトを楽しむことができるともいえるのです。
さらに、ボトラーズブランドのウイスキーの面白さといえば、それぞれのボトルに個性があることがあげられます。
大手のメジャーなウイスキーは、機械的に大量生産されることが多いですが、ボトラーズブランドは、基本的に少量生産です。そのため、同じラベルが貼られたものでも、味にバラつきがあり、一本一本味が違い、飲んでみなければわからないといったことも、ウイスキー通にとっての魅力ともなっています。
・独立瓶詰業者が各地の蒸留所から、さまざまな樽を買い付けるため、ラインアップが豊富。
・ 熟成年数、蒸留年、アルコール度数、樽の種類など、バリエーションが豊か。
・閉鎖蒸留所など、オフィシャルボトルとして新たに入手困難で、流通していない蒸留所の稀少な味わいを楽しむことも可能。
・ボトラーズブランド独自のコンセプトをもって、独自に熟成・瓶詰し、流通量も少ないため、稀少性の高いボトルも多い。