ワインを嗜み始めると、よく耳にするようになるワイン専門用語に「テロワール」があります。テロワール(仏:terroir)は、フランス語の土地terreから派生した言葉です。少し難しそうなイメージの言葉ですが、どんな意味なのでしょうか?
テロワールは、ワインの味に影響を与える産地の気候や土壌、地勢などの自然条件を意味します。
ワインの味わいのベースとなるのはブドウの品種ですが、そのブドウの育成に影響を与えるのが産地による自然条件の違いです。
テロワールは、ブドウの生育に影響する産地の個性ともいえ、ブドウの品種の特徴に加えて、テロワールによる違いを知っておくと、より自分好みのワインが選びやすくなります。
最もわかりやすいテロワールが与える影響といわれるのが、ブドウ産地の寒暖によるワインの味わいの違いです。ドイツなど冷涼な産地になるほど、酸味が強く、シャープな印象になり、チリや南アフリカなど温暖な産地になるほど、酸味はまろやかになり、果実味が強くなるといわれます。
テロワールを構成する主な要素としては気温、日照量、水分、土壌があげられ、気温や日照量はブドウの熟し具合に影響し、水分や土壌はブドウの凝縮感や複雑味に影響を与えるといわれます。
気温
産地の気温は、ブドウ果実の成熟スピードを左右し、酸味や果実味に影響を与えます。年間の平均気温が10~16℃で、昼と夜の気温差が大きい方が望ましいとされます。
日照量
日照量は果実の熟し具合を左右し、色素や糖分、タンニンの生成に影響します。ブドウの生育期間に最低限必要な日照時間は1300~1500時間とされています。
水分
水分が多すぎると、樹木の成長が過度になってブドウの果実に栄養が行きわたらないため、ギリギリの必要量である、年間降水量500~900mmが望ましいとされています。
土壌
ブドウが根を張るために非常に重要となるのが土壌です。ワイン用のブドウには、水はけがよく痩せた土地の方が、ブドウがより地中深く根を張り、果実に複雑味が増すといわれています。
また、ブドウの健全な生育にはミネラル分を要するので、ミネラルに富んだ土地が望ましいとされます。品種によっても適した土壌が異なります。
上記の4大構成要素に影響を与える地勢条件も、テロワールの重要な要素のひとつといわれます。
地勢とは、地形の起伏、海面との位置関係など、土地の有様のことですが、同じ気象条件であっても、ブドウ畑の標高や、土地の傾斜の角度、向き、河川の有無などの違いによって、気温や日照量、水はけなどにも違いがでます。
標高
標高が高いほど、気温は低くなるので、一般には、気温が高すぎる地域は標高の高いところにブドウ畑がつくられます。
傾斜
水はけがよいのは、斜面で、斜面の向きによって日照量を確保することもできます。
河川
河川に面した畑では、水面の照り返しにより日照量を増やすことができるといわれます。