ワインの産地は、いわばその原料であるブドウの産地ということができますが、気候条件や地形、土壌などによってそれぞれ特徴があります。
ワインの原料であるブドウは生鮮果実であるため、新鮮なうちに仕込むことが必要です。よいワイン造りのためのブドウ栽培に適した気候条件として、以下の3つがあげられます。
【気温】年間平均気温10~20℃(ワイン用ブドウ栽培では10~16℃)
【雨量】年間降水量500~900mm
【日照量】ブドウ生育期間中最低1300~1500時間
ブドウ栽培に好ましい年間平均気温である10~20℃という気温条件を満たす地域を地図上でみてみると、おおよそ北緯30~50度、南緯20~40度のエリアとなっています。
●北緯30~50度
ヨーロッパ…フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガルをはじめ、多くの国でワインが造られています。
日本…山梨県、長野県、山形県、北海道などの主要生産地をはじめ、日本各地でワインが造られています。
アメリカ…ワシントン州やオレゴン州、ニューヨーク州などでもワインは生産されていますが、全米のワイン生産量の約90%を占めるカリフォルニア州が中心となっています。太平洋に面したカリフォルニアの気候や風土は、夏は涼しさ、冬は暖かさをもたらしてくれるため、ブドウ栽培に非常に適しています。
●南緯20~40度
南アフリカ…アフリカ大陸の最南端の海岸部が中心となっています。
オーストラリア・ニュージーランド…オーストラリアでは大陸の南側に、ニュージーランドではほぼ全土に主要生産地が点在しています。オーストラリアのワインは、産地間のブドウやワインのブレンドが広く行われていることが特徴です。ニュージーランドでは、特に白ワインの品質が世界的に評価されています。
チリ・アルゼンチン…チリでは、中央部が主要産地で、アンデス山脈とフンボルト海流の影響による昼夜の寒暖差がブドウの凝縮感と果実味を与えます。アルゼンチンでは西側にあるアンデス山脈の盆地を中心に、ワインの主要生産地が続いています。 この辺りは、葡萄栽培に適した土壌を有しているだけでなく、大陸性気候の影響による温暖で、夏は湿度が低く降水量も多くないうえ、冬は乾燥した気候風土のため、葡萄栽培における病害も発生しにくいとされています。
上記の、ワインの育成に適した緯度を「ワインベルト」と呼び、主要なワイン産地のほとんどが、この2本のベルトゾーンに含まれています。 良質なワインは、気温に加え、雨量や日照量などの条件も満たすブドウ栽培に適した土地から生まれているのです。