一般的なワイン以外でブドウを原料としたお酒は、シェリー酒以外にもあります。
マディラは、ポート・ワインと並ぶポルトガルの代表的な酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)です。
マディラは、大西洋上の楽園といわれる、ポルトガル領のマディラ島で造られる銘酒です。
マディラは大変個性的で、独特の太陽熱による加熱熟成製法が生み出す香ばしい風味と、長い寿命は他に比類がないといわれています。
帆船時代の17世紀、赤道を横切る船に積んだワインに、チョコレートのような独特の甘い香りが備わったことから、独自の加熱システムが考案され、人為的に高貴な香りを含むマディラ・ワインのスタイルが確立されたといわれています。
ポルトガル領マデイラ島は火山島で、ほとんど平地がなく、ブドウ畑は小さな区画の急斜面での「ポイオシュ」と呼ばれる段々畑で行われています。
段々畑で小さな区画なため、機械を導入することは難しく、ブドウの収穫のほとんどは、手摘みとなっています。
収穫したブドウは、ブドウ由来のスピリッツ(酒精:主にブランデー)が加えられ、それにより発酵が止まり、マディラ独特の香ばしい風味を醸成します。
ヴィンテージ(収穫年)の表示のあるものや、10年、15年といった熟成期間の表記がある高級なマデイラ・ワインは「カンテイロ」と呼ばれる太陽熱による加熱熟成法によって、意図的に酸化させながら何年もかけて熟成させたものです。
一般的なクラスのマディラは「エストゥファ」と呼ばれる人工的な加熱装置を用いますが、30~35度で最低でも3ヶ月間加熱熟成させます。
その後、クーバと呼ばれる大きな木樽で熟成され、熟成終了後、安定期間置いて、冷却処理され瓶詰めされます。
このようにして酸化熟成して造られたマディラは、保存方法を間違えなければ、酸化劣化せず、数百年の保存に耐える超長期保存の良質なマディラとなります。現在でも、数世紀前に造られたマディラが数多く残っています。
マディラは、公的管理機関であるIVM(マデイラ・ワイン・インスティトゥート)によって、ブドウの産地や品種、熟成期間などが細かく定められていますが、その楽しみ方は辛口を食前酒、甘口を食後酒とするのが一般的です。
比較的冷涼な標高600~700mの地域で栽培される白ブドウが使われる。 辛口タイプで、キレのよい酸味と高い香りをもつ。
比較的涼しい標高400~600mの地域で栽培される品種で、口当たりがよく、味わい豊かな中辛口タイプ。
主な栽培地は標高300~400mの温暖な地域で、燻製したような方向を持ち、バランスのよいやや甘口タイプ。
海岸線から標高300m程度の暑い地域で栽培される白ブドウが使われ、凝縮されたコクのある、極甘口タイプ。
ヴィンテージ・マディラ(ヴィニョス・バーベイト)
マディラ・レゼルヴァ・ヴェルデーリョ(ヴィノス・ペレイラ・ドリヴェイラ)等