最近、世界中で注目され始めているビオワイン。ビオワインは、一般的には、出来る限り自然のままで造られたワインのことを指します。
自然派ワインやヴァン・ナチュール(仏:Vin Naturel)、ナチュラルワイン(英:Natural Wine)とよばれることもありますが、ビオワインの定義については多くの異なった見解があり、詳細は明確には定まっていません。
ブドウ栽培やワイン造りに関して、ビオロジック(オーガニック)やビオディナミ(化学肥料や化学薬品に頼らない有機農法や、天体の運行にも基づいた農法)など、自然をキーワードとした信念のもとに造られたワインを、ビオワインと総称しています。
しかし、製造者によって”自然”の意味の捉え方が違うことや、国や地域によって取り巻く環境も異なるため、様々な解釈に基づいたビオワインが市場に流通しています。
ヨーロッパでは、オーガニックワインといわれるビオロジックワインが多く生産されています。 ビオロジックは、ブドウの生産に化学肥料や農薬(除草剤・殺菌剤・殺虫剤・防カビ剤)を使用せず、EUで認証された有機肥料だけを使用し、遺伝子組み換えの使用や放射線処理は禁止など、品質や肥料、種子管理など、多岐に渡り、厳しい調査があります。その調査を認証する機関がEUにあり、その認定がないと、ビオロジックワインと名乗ることができないのです。
EUの公的認証機関としては、フランスの「ABマーク」、民間では世界最大団体であるフランスの「エコセール」などが知られています。
また、ビオディナミは、ビオロジックからさらに踏み込んで、人智学のR.シュタイナーが提唱した、月や星座の運行までも考慮に入れ、気圧・引力・潮力などの関係をみながら農作業をする方法です。
このビオディナミ農法に則ってブドウ栽培が行われていることを証明する団体としては、ドイツの「デメテール」があります。
コート・ド・ボルドー・カスティヨン
VdFヴィニャソウ
VdFラシラー・ド・ダレス
アルザス・ピノ・グリ
コート・デュ・ジュラレ・シャサーニュなど
自然派志向が高まる日本でも、ワイン造りを畑から見直しているワイナリーが増えています。
ヨーロッパではビオロジック(オーガニック)ワインと名乗るためには、厳しい調査を経た、オーガニック認証が必要ですが、日本では「ビオ」と名乗るワインに関しては、厳格な規定はまだありません。
そのため、日本では、有機栽培のワインや、自然農法で作られたワイン、ビオディナミ農法で作られたワインの総称として、ビオワインという言葉が使われているのが現状です。
日本では造り手によってビオワインに対する認識がまちまちで、ヨーロッパに比べると、ビオワインの生産に関してはまだまだ発展途上にあるといえますが、年々、ビオディナミ農法や有機栽培法に取り組むワイナリーも増えてきています。
【日本の主なビオワインのワイナリー】
・フルーツグローアー澤登(約10年の歳月をかけて、ブドウの完全無農薬栽培化に成功した日本のブドウ無農薬栽培のパイオニア)
・小布施ワイナリー(100%寺社農場化をめざし、サンシミという無化学農薬栽培に取り組み、無補糖、無補酸、天然酵母で発酵した自然派ワインを手掛けるワイナリー)など