ウイスキーの味は樽の種類によっても変化します。樽は英語でカスク CASKといい、樽の大きさや樽材の樹種、樽の内面処理の方法などにより、香味や色は異なってきます。
ウイスキーを熟成・貯蔵させる樽には、お酒が漏れにくく、曲げやすいホワイトオーク材が広く使われています。アメリカのオーク樽、ヨーロッパのオーク樽、それぞれ育まれた風土の違いによっても、出来上がるウイスキーの風味が異なります。
オーク樽で熟成されたウイスキーの色は淡い黄金色で、バニラやナッツのような香りが特長となっており、樽の種類は主に4種類に分けられます。
横幅が広く、ずんぐりとした形の樽。かつてはワインやビールを貯蔵するために使われていた樽をパンチョンと呼んでいたらしい。新しいホワイトオーク材を使うので、木の香りが濃厚ではなく、すっきりとした味わいのウイスキーとなる。
平均的なサイズ~容量:約480リットル、最大径:約96cm、長さ:約107cm
スペインのアンダルシア地方の醸造酒シェリー酒の貯蔵に使われていた樽。ヨーロピアンオークで造られるのが一般的で、シェリーの貯蔵に使用された後、ウイスキーメーカーの手に渡る。
シェリーバットのウイスキーは、色合いが深く、赤みを帯びるのが特徴で、シェリー酒の香りとほのかな甘みを持ったお酒となる。
平均的なサイズ~容量:約480リットル、最大径:約89cm、長さ:約128cm
樽の容量が小さく、木香の影響が出やすいのが特徴で、長期間貯蔵のモルト・ウイスキーや、風味の軽いグレーン・ウイスキーには不向き。内側を強く焼き、バーボンの熟成に1回使用した樽であるため、バーボン樽とも呼ばれる。
平均的なサイズ~容量:約180リットル、最大径:約65cm、長さ:約86cm
HOGは英語で食用の豚の意味で、樽の大きさが1頭の重さと同じ位だったことから、この名がついた。
バレルの古樽をばらしてつくった再生樽で、パンチョンに比べると濃厚な味わいに仕上がる。
平均的なサイズ~容量:約230リットル、最大径:約72cm、長さ:約82cm
近年では、ウイスキーの製造者により、他の種類の樽を用いる場合もあります。例えば、日本のサントリーの場合は、上記のパンチョン、シェリーバット、バレル(バーレル)、ホッグスヘッドの4種類のほか、純国産ミズナラ(オーク)を使い、日本ならではのオリエンタルなウイスキーを造っています。