ウイスキー5大産地～アイルランド

ウイスキー5大産地～アイルランド

ウイスキーの5大生産地であるスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本のうち、今回はアイルランドのウイスキーについて説明します。

スコットランドのあるグレートブリテン島の隣にある島がアイルランド共和国のあるアイルランド島です。イギリス領北アイルランドを含めたアイルランド島全域で造るウイスキーがアイリッシュウイスキーといわれ、スコットランドと並んで古い歴史を持っています。

アイリッシュウイスキーの原料は、大麦麦芽のほか、未発芽の大麦、ライ麦、小麦などを加えることで、穀物様の強い味わいになっています。

基本はピートを焚かないノンピートで、古くから行なわれてきた3回蒸溜を続け、雑味の少ないすっきりとした味のウイスキーがつくられます。

専門家によると、アイリッシュウイスキーは下記の4つに分類されます。

ポットスチルウイスキー(大麦麦芽に未発芽の大麦、オート麦などを混ぜて原酒とし、単式蒸溜器で3回蒸溜するというアイリッシュの伝統的な造り方)

モルトウイスキー(原料は麦芽のみシングルモルト)

グレーンウイスキー(主原料はトウモロコシで、連続式蒸溜機で蒸溜されるもの)

ブレンデッドウイスキー(複数のモルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせたもの)

アイリッシュウイスキーは、かつてアメリカで大人気だったため、大量生産を行っていましたが、禁酒法時代から第二次世界大戦にかけて、スコッチウイスキー、特にブレンデッドウイスキーに市場を奪われ、アイルランドの蒸溜所は次々と閉鎖されました。

さらに、イングランドからの独立連動で内戦が続いたこともあり、現在は下記の蒸溜所しか稼働していません。

ブッシュミルズ蒸溜所

ブッシュミルズズとは、”森の中の水車小屋“という意味で、北アイルランドのアントリムに位置します。ブッシュミルズ蒸溜所の創業は1608年、イングランド王から酒の蒸溜公式認可受け、正式な蒸溜所としては世界最古ともいわれています。 アイルランドの伝統的な3回蒸溜を行い、モルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンドであるオリジナルのほか、オロロソシェリー樽で長期熟成させたブラックブッシュなども販売しています。

新ミドルトン蒸溜所

新ミドルトン蒸溜所の前の、もともとの旧ミドルトン蒸溜所は18世紀にアイルランド共和国の首都ダブリンにやってきたスコットランド人ジョン・ジェムソンによってされました。ジョンはアイルランド伝統のウイスキーづくりを行っていましたが、もてはやされた軽快な味わいという流行に乗れず、苦戦をしいられていました。

1975年、旧ミドルトン蒸溜所の背後に、世界最大の蒸溜器を要するプラントとして、新ミドルトン蒸溜所が誕生し、見事復活を果たしました。

新ミドルトン蒸溜所は、世界最大のポットスチル(単式蒸留器) を持ち、アイリッシュウイスキー伝統のピュアポットスチルウイスキーを造っています。この新ミドルトン蒸溜所の単式蒸溜器は4器あり、そのうち蒸溜2基が22～55度、中溜1基が50～78度、再溜1基が63～85度と、さまざまなアルコール度数にすることによって数十種類の原酒を造りだしています。銘柄はジェムソンのほか、タラモア・デューなどの閉鎖蒸溜所の銘柄も数多く造られています。

クーリー蒸留所

アイルランドの蒸溜所の中でも、1987年に創業された最も新しい蒸溜所です。 1980年以降、アイルランドでは、ミドルトンとブッシュミルズの2か所の蒸溜所しか稼働していないという時代が長く続きましたが、アイリッシュウイスキーの復活をかけて、操業を始めたのがクーリー蒸留所です。クーリー蒸留所では、ピート香が強いカネマラのほか、単式蒸溜原酒のみで造られるロックス8年、グレーンウイスキーをブレンドしたミラーズなどさまざまな銘柄をリリースしており、これらが市場に出回ることにより、アイリッシュウイスキーの数は倍増したといわれています。

キルベガン蒸溜所

キルベガン蒸溜所(旧ロックス蒸留所)は、1757年に設立されたブルスナ蒸留所を起源としています。1843年にジョン・ロックによって買収されますが、1953年に閉鎖され、また、2007年に設立250周年を記念して操業が再開されますが、2011年にバーボンウイスキー「ジムビーム」で知られるビーム社によって買収されます。さらにビーム社は、サントリーによって2014年に買収されています。

現在は、サントリーから、ブルスナ蒸溜所の代表ブランドを復活させたブレンデッドウイスキーKilbeggan(キルベガン)などが発売されています。