ワインの香りは、味わいと同様にバラエティに富んでいます。ワインほど香りを重視するお酒はないといってもいいかもしれません。
長い歴史を持つワインの香りについては、専門家や愛好家が分析を行い、その香りの表現法を磨いてきました。
主にワインの香りの分類には「アロマ」と「ブーケ」の2種類があります。
【アロマ】
第1アロマ(原料の葡萄に由来する香り)と第2アロマ(葡萄の発酵段階で生まれる香り)がある。葡萄の品種や産地の気候によって香りに特徴がある。
【ブーケ】
木樽内、ボトル内での熟成中に生まれる香り。木樽熟成は出荷前に行われる比較的期間の短いもので、ワインの熟成に伴う香りは長いものだと数十年にわたるものもある。
香りのお酒ともいえるワイン。ワインの香りを表現する時は「◯◯のような香り」と、何かに例えて表現するのがポイントです。
●花の香り…バラ、野バラ、スミレ、金木犀、白い花、黄色い花、蜂蜜など
ワインの色に関係なく、アロマとして幅広く感じられるが、スミレやバラなどの花の香りです。
●果実…赤ベリー(イチゴ、チェリー)、黒ベリー(ブルーベリー、カシス)、柑橘系(レモン、グレープフルーツ、ライム)、トロピカルフルーツ系(パイナップル、メロン、ライチ、パッションフルーツ、バナナ)、レーズン、プルーン、コンポート、イチジク、リンゴ、洋ナシ、白桃など
赤ワインの場合、ラズベリーやカシスなどの赤や黒の果皮、白ワインの場合、レモン、リンゴなど果実のもつ果皮の香りで支配されていることが多いので、柑橘系、果肉の白い果物などを使って表現するとよいでしょう。
●ハーブ・植物・森の香り…青草、ピーマン、レタス、ハーブ(ミント、セージ、タイム、ベイリーフなど)、干し草(黄色の草)、枯葉、煙草、紅茶、トリュフ、バニラ、大地(土)など
野菜を切ったときに感じられる草のような香り(青草)は、赤ワイン、白ワイン問わず表現に使われやすい表現です。ハーブはミントやタイムなど具体的な名前を用いて表現されます。
●スパイス…ペッパー、シナモン、クローブ、ナツメグ、ローズマリー、コリアンダー、甘草など
赤ワイン、白ワインともにシナモンといったスパイスのような香りをもつものがあります。強く香れば“スパイシーな香り”と表現されます。
●ナッツ・ロースト香…ヘーゼルナッツ、砕いたアーモンド、カカオ、コーヒー、燻香、焼いたパン、チョコレートなど
燻したような香ばしい香りのことです。熟成に用いた樽からワインに溶け込んだ成分に由来する香りは、樽自体の加熱法などによって香りが異なります。
●動物…ムスク、焼いた肉、なめし革、馬小屋、濡れた犬、猫のおしっこ、ジビエ(野鳥獣)など
ブーケとして皮革や毛皮の香りがワインの香りの表現に用いられることがあります。アロマとしては赤味肉の風味なども使われます。