モルトウイスキーの香りを特徴づける重要な材料である「ピート(Peat)」。ピートとは、スコットランド北部の原野に多い湿原の野草や水生植物などが、分解されず蓄積された可燃性の「泥炭」「草炭」(炭化のあまりすすんでいない石炭)のことです。
ピートの煙で麦芽を乾燥させ、その燻した香りが麦芽につくことによって、ウイスキー特有のスモーキーな香りが生まれます。
ピート(泥炭)とは、シダやコケ類、野草、灌木、ヘザーなどの枯れた植物が堆積したもので、主にはスコットランド北部で採取されます。
ピートは、シダやコケが枯れ、その上から被さるようにして若いシダやコケが生え…といったことが何回も繰り返されることによって、丘陵地を覆うようにして層が出来上がり、土化して堆積したものです。これが何百年にもわたって泥炭化していきます。
こうして堆積されたピート層は、掘り起こされ、余分な湿気を取るために天日干しされます。3~4か月、野外に置いて乾燥することで燃えやすくなります。 ピートの主成分ヘザー ピートはコケやシダなどの植物が炭化したものですが、中でも主成分となるのが、ヘザーというエリカ科の低木です。
ヘザーはヒースとも呼ばれ、スコットランドではポピュラー植物で、赤やピンクの可愛らしい花をつけるベルヘザー、白い可憐な花を咲かせるリングヘザーなどがあります。
ピートはスコットランドの様々な地にみられますが、スコットランド南西に浮かぶ淡路島ほどの大きさのアイラ島は、全島が厚いピート層に覆われています。
島全体がピート層であるアイラ島は、海藻を含むピートが豊富で、その焚
きこむ量も多いことで知られます。そのため、アイラモルトは「スモーキー」「ヨードの香り」とも表現され、非常に強いピートの香りが特徴です。強いピート香が特徴のアードベッグや、ヘビーピートの逸品といわれるラガヴーリン、蒸留所の敷地内でとれるピートを使ったラフロイグなど個性派揃いです。