普段何気なく使っている言葉のスパークリング・ワインとシャンパン…その違いとは、何でしょうか?
スパークリング・ワインとシャンパンは、どちらも発泡性のワインですが、シャンパンは、スパークリング・ワインの一種にあたります。
日本ではどちらかというと、スパークリング・ワインよりも、発泡性のワインのことをひとくくりにして“シャンパン”といってしまう傾向にありますが、厳密に言えば、スパークリング・ワインとシャンパンは同一のものではありません。
スパークリング・ワインの一種であるシャンパンですが、実は、シャンパンと名乗るには、ある条件を満たしていなければなりません。
発泡性のあるワインのすべてがシャンパンではありません。 スパークリング・ワインは発泡性ワインの総称であって、炭酸ガスの気圧が3気圧以上のガス圧をもっている発泡性ワインがスパークリング・ワインと呼ばれます。ちなみに、3気圧以下のものは、弱発泡性ワインと呼ばれます。
このスパークリング・ワインは、世界中の国々・地方で造られています。
代表的なスパークリング・ワイン
・ドイツ…ゼクト(Sekt)、シャウムヴァイン(Schaumwein)
・フランス…ヴァンムスー(Vin Mousseux)、クレマン(Cremant)
・イタリア…スプマンテ(Spumante)
・スペイン…エスプモーソ(Espumoso)、カヴァ(Cava)
スパークリング・ワインの製造法には、大きく分けて、①人工的に炭酸ガスを封じ込めたもの、②タンクで密閉発酵した後に、ガスが抜けないように濾過機を通してボトリングしたもの、そして③ボトル内で酵母の二次発酵を行わせる方法で生産されたものという3つの製造方法があります。
この3番目の方法が瓶内二次発酵法とよばれるシャンパンの製造方法で、17世紀末にドン・ペリニヨンという僧侶が発明した製造方法いわれています。かの有名な銘柄 “ドン・ペリニヨン”は瓶内二次発酵法というシャンパン製法を発明したといわれるこの修道士の名前に由来しています。
シャンパンは、一度通常通りに醸造したワインを再びボトルの中に入れ、そこに糖分と酵母を加えて密封して、さらに再発酵をさせて造ります。この瓶内二次発酵法により、シャンパンの最大の魅力である繊細で華麗な泡立ちがと生まれるのです。
では、シャンパンとは何かというと、フランスのワイン4大産地のひとつ、シャンパーニュ地方で瓶内二次発酵法によって 生産されたスパークリング・ワインのことなのです。
フランスのシャンパーニュ地方以外で生産されるスパークリング・ワインや、フランス以外の国のスパークリング・ワインはシャンパンと名乗ることはできません。
フランスのシャンパーニュ地方はパリの北東130キロに位置し、北緯は50度で年間平均気温10℃という冷涼な地域です。大陸からの冷たい風と大西洋からの湿った空気が入り込み、海底が隆起して現れた土壌は、チョークのような真っ白な石灰質土壌です。
そして、シャンパンに使用できる葡萄品種は限られており、基本的はシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種類からブレントして造られるものが多く、こうしたシャンパーニュ地方独特の気候風土から、生み出される繊細で複雑な味わいのシャンパンは、他のスパークリング・ワインと比べても、世界的に高い評価を得ています。
しかし、フランスのシャンパーニュ地方生産のものが全てシャンパンとなるわけではなく、フランスのワイン法であるAOCという原産地呼称統制法に従い、栽培から醸造、そして瓶内二次発酵法までのすべての工程が厳密に行われ、最終的に品質検査を受けて合格したものだけがシャンパンの名を名乗ることが出来るのです。
そして、シャンパンは、エチケットには必ずChampagneと表記することが義務づけられていますので、ラベルを見ればすぐに、シャンパンであるか、スパークリング・ワインであるのかがわかります。
スパークリング・ワインとシャンパンの違いについて触れてきましたが、スパークリング・ワインの中にも、カヴァやゼクトなど、シャンパンに負けない味わいのものがありますので、銘柄名に惑わされず、シャンパンでもスパークリング・ワインでも、ご自身にあった良いものを審美眼をもってチョイスするとよいでしょう。