沖縄名産品として知られる泡盛は、原材料、製法、貯蔵法など、独自性が高いお酒です。
泡盛は、米(主にタイ米)を原料として、黒麹菌を用いた米麹である黒麹を使い、酵母でアルコール発酵させたもろみを、一度だけ蒸留した琉球諸島産の蒸留酒です。
泡盛は、単式蒸留機で蒸留した度数が45度以下のもので焼酎乙類の一種ですが、原料のすべてを麹にしてから発酵を行って造るという点で、他の焼酎乙類とは異なっています。
また、泡盛には、カメで熟成させた古酒が多くあり、3年以上貯蔵したものは古酒(クース)と呼ばれ、珍重されます。
泡盛はアルコール度数の高い酒というイメージですが、酒税法ではアルコール度数が45度以下のものと定められています。
泡盛の度数については、蒸留過程の初期が高く、後になるにつれて低くなっていきます。蒸留開始直後のアルコール度数の高い一番酒は花酒と呼ばれ、60度以上の度数があります。
アルコール度数60度以上の花酒と呼ばれる泡盛は、泡盛の最高限界濃度である45度を超えるため、酒類表示ではスピリッツ類、原料用アルコールと表示されています。花酒には「どなん」「与那国」「舞富名」の3銘柄があります。
泡盛には、同じ銘柄でも度数が25度、30度、35度、43度など、何種類かあるものが珍しくありませんが、一般的には30度のものが多く、古酒では43度のものも多く見受けられます。
この泡盛の度数の違いは、どのようにして起きるのでしょうか。
単式蒸留機で蒸溜する泡盛は、黒麹で発酵させ、甕やタンク・樽に詰めて寝かせますが、寝かせている間に、アルコールが蒸発していき、度数は下がります。
度数が下がりすぎると雑菌の繁殖などが起こりますので、毎年少しずつ新しい泡盛を足し加えていきます。例えば、1年ものには蒸留したての花酒を、2年ものには1年ものを、10年ものには9年ものをといった具合に調整されます。
また、この貯蔵中の調整とは別に、製品化する際に、仕込み水でも、度数が調整されます。 泡盛の甕ごとに、アルコール度数の下がり方は異なり、また季節や気候などによっても左右されますので、泡盛として製品化する時に、仕込み水を混ぜてアルコール度数を下げ、すべてを25度や30度などに調整して瓶に詰めて出荷されます。近年は、度数25度以下に調整した「マイルド」という泡盛もたくさん出回っています。
また、泡盛は大切に管理していけば、100年、200年の古酒に、育てることができるお酒であるといわれています。世界大戦中で100年を超える古酒はほとんど失われてしまいましたが、戦後に育てられた20年、30年といった古酒の泡盛も、その芳醇な味わいと甘い香りで、世界からも高く評価されています。