ブランデーとウイスキー、その違いを知らない人は意外と多いかもしれません。
ブランデーもウイスキーも、琥珀色で、雰囲気も似ていますので、あまりお酒を飲まない方にとっては違いがわかりにくく、同じように感じてしまいます。
ブランデーもウイスキーも、どちらも蒸留酒で、製造方法も、ほとんど同じです。
この2つのお酒、ブランデーとウイスキーの大きな違いは「原料」です。
ウイスキーの原料…大麦、トウモロコシ、ライ麦、大麦麦芽など
ブランデーの原料…主にブドウ(白ブドウ)。他には、リンゴ、サクランボなどの果実
ブランデーは、ブドウなどの果実酒から造ったアルコール度数は40~50度の蒸留酒の総称で、ブドウのワインを蒸留して樽に入れ、熟成して製造されます。
ブランデーは通常、ブドウが原料のワインを蒸留して作られたものを指し、他には、ブドウのワインの絞りかすから造ったマール、グラッパや、リンゴから造られたカルバドス、アップルジャック、サクランボから造られたキルシュなどがあり、その他、様々な果実がブランデーには使われます。
平たくブランデーとウイスキーの違いを言えば、ビールを蒸留するとウイスキーになり、ワインを蒸留するとブランデーになるといったイメージです。
また、混同されやすいお酒にスコッチやバーボン、コニャックがありますが、ウイスキーの仲間には、大麦麦芽を原料とするスコッチと、トウモロコシを主原料とするバーボンが含まれます。コニャックは、フランスのコニャック地方で定められた製法で造られるブランデーの一種です。
ブランデーには、ウイスキーと同じように樽熟成した琥珀色のものと、樽熟成しない透明なものがあり、主なブランデー(コニャック)のブランドとしては、カミュ、レミーマルタン、ヘネシー、マーテル、オタールなどが有名です。
ワイン王国でもあるフランスがブランデーの生産国として有名ですが、日本国内でもサントリーやニッカウヰスキーがブランデーの製造を行っています。
また、フレンチブランデーの2大銘酒の一つであるアルマニャック地方で造られるアルマニャックもブランデーに含まれます。
ブランデーの熟成年数~ブランデーのラベルには、V.S.O.P.などの符号がついていますが、これは熟成した年数を示しています。
一般的にブランデーは、様々な熟成年数の原酒を混合して造られていますが、ブレンドに使用した原酒のうち一番短い貯蔵年数をV.S.O.P.などの文字で表示しています。ブランデーには下記のような熟成年数による違いがあり、下に行くほど高ランクといわれています。
・スリースター
・V.S.(Very Special)
・V.O. (Very Old)
・V.S.O.P.(Very Superior Old Pale)
・ナポレオン(Napoleon)
・X.O. (Extra Old)
ブランデーとウイスキーは、原料にその大きな違いがありますが、歴史的な背景も少し異なります。
ウイスキーは15世紀の初めに、蒸留の方法が世の中に広まるようになり、スコットランド人などからは「命の水」と呼ばれ、「薬」として取り扱われたこともありました。
アメリカの禁酒法時代においても、ウイスキーは唯一生産を許可され、医師からの処方箋があれば購入が可能なお酒ということで、ウイスキーは「薬」としての一面も持っていました。
一方、ブランデーは華やかな貴族のイメージの歴史的背景を持っています。ブランデーは当初、庶民のお酒でしたが、アルコール度数の高さから、劣化しにくいことに目を付けたオランダ人が、高価なお酒として、ブランデーをイギリスに売り込んだところ、大ヒットして高級ブランド化しました。また、1713年にルイ14世がフランスのブランデーを保護する法律をつくったことからも、ヨーロッパ各国の宮廷に取り入れられ「王侯貴族の酒」としての地位を得ていきました。
ブランデーとウイスキーの原料の違いだけではなく、こういった歴史的背景も知ることによって、同じようにみえていたお酒にも面白みが感じられるかもしれません。