覚えておきたいシャンパンの銘柄

覚えておきたいシャンパンの銘柄

記念日やお祝いの席には欠かせない特別な日のお酒“シャンパン”。食前酒とだけでなく、デザートにもあうスパークリングワインの最高峰といわれるシャンパンは、どんなシーンでも楽しめ、パーティではかかせない存在です。 ここでは覚えておきたい有名なシャンパンの銘柄についてご紹介します。

モエ・エ・シャンドン

世界中に名が知れているモエ・エ・シャンドンは、シャンパーニュの最大手で、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー・グループの中核企業です。

モエ・エ・シャンドンは1743年に酒商クロード・モエが設立し、ルイ15世の寵愛を受けたポンパドゥール夫人が愛したシャンパンとして知られています。ポンパドゥール夫人によりヴェルサイユの王候貴族に広められ、社交界に相応しいシャンパンとしての評価を獲得しました。

また、19世紀初頭には、初代の孫ジャン・レミ・モエが皇帝ナポレオンを上顧客とし、地位を高めました。

今ではスポーツの表彰式などでお馴染みのシャンパンファイトは、1965年の24時間耐久レースであるル・マンの表彰式で優勝者が観客にモエ・エ・シャンドンを浴びせたのが始まりです。 さらに、豪華なひとときを演出するシャンパンタワーを始めたのも、モエ・エ・シャンドンです。

企業買収により巨大化し、ルイ・ヴィトングループとの合併によって世界初となるラグジュアリーグループ「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン MHLV」となったモエ・エ・シャンドンは、近代的な設備により高品質で安定的製造と、多彩な商品展開を行っています。年間生産量は業界で群を抜く大きさで、年産2000万本を誇っています。

クリュッグ

シャンパンの帝王と呼ばれるのがクリュックです。クリュギストと呼ばれるほど熱狂的な支持者を世界中に抱えるほど、その存在感は別格です。

1843年ドイツ出身のヨーゼフ・クリュッグにより設立、19世紀末には世界的に評価を得ています。

その後、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー・グループの傘下となりますが、現在も、基本的に家族経営のスタイルが維持されています。

クリュッグの年産は約50万本で、自社畑27haで40％ほどを賄い、残りは契約栽培家から調達しています。 クリュッグのラインナップはプレミアムタイプだけで、生産量の80％を占めるグラン・キュヴェでも熟成6～10年の原酒を40種類以上混ぜて仕上げるという贅沢な造りです。 クリュッグは、ピノ・ノワールとシャルドネに比重を置き、熟成感と重厚感の中にエレガンスが表現されたシャンペンです。

ドン・ペリニヨン

シャンパーニュの最大手モエ・エ・シャンドンの旗艦ブランドで、高級シャンパンの代名詞とされるほど有名なシャンパンの銘柄です。

日本では「ドンペリ」という略称で親しまれ、特別・豪華という印象が強い人気のシャンパンです。 モエ・エ・シャンドンが、シャンパン製法の基礎を築いたベネディクト派の僧侶ドン・ピエール・ペリニョンが従事したオーヴィレール修道院と葡萄畑を購入し、1936年に誕生したプレステージュ・シャンパーニュに「ドン・ペリニヨン」の名を付ける権利を得ています。

ドン・ペリニヨンは常に良作年のみ造るヴィンテージ・シャンパンであり、瓶内熟成7年以上を経て、約10年目に出荷されます。原料は特級村を中心とするシャルドネとピノ・ノワールに限られます。

通常品の白のドン・ペリニヨンに加えて、色鮮やかなピンクのラベルが特徴のロゼ、金色のラベルをした熟成期間の長いゴールド、 さらに瓶内熟成を5年延ばした長期熟成品エノテーク、最上級商品レゼルヴ・ド・ラペイなどをラインナップしています。

サロン

ル・メニル・シェル・オジェ村に本拠を置く、ブラン・ド・ブランでは最高峰のシャンパンです。

単一年・単一品種・単一村の稀有な哲学を掲げ、約3年に1度の頻度で製造されます。瓶内熟成10年を経て出荷し、独特の肌理細かさと深淵さを表現されたシャンパンのため「幻のシャンパン」とも呼ばれる稀少性の高さが特徴となっています。

1920年～30年にかけてパリの三ツ星レストラン・マキシムが全盛期の頃、サロンのシャンパンが使われるようになり一躍有名になりました。現在のサロンはローラン・ペリエ社が所有していますが、ヴィンテージ物しか造らないと言うサロンのポリシーは今も変わることがありません。サロンは、JALファーストクラスでウェルカムドリンクとしても提供されています。

ヴーヴ・クリコ

ランス市内に本拠を置く、年産900万本の大規模ワイナリーで、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー・グループの中核企業でもあります。

ヴーヴ・イエローと呼ばれるオレンジ色のラベルで親しまれています。

1772年に銀行家でフィリップ・グリコにより設立され、後継者のフランソワ・グリコの死後、未亡人のヴーヴ・グリコが経営を引き継ぎ、シャンパーニュ事業を独立させて現社名となりました。

当時は濁ったシャンパンが一般的でしたが、瓶を回しながら統一させて滓を抜くという動瓶技術を考案し、圧倒的な人気銘柄となり、事業が大きく拡大しました。

英国王室御用達にも選ばれている評価の高いシャンパンで、主な種類としては、元気のいい泡立ちとともに、柑橘類の心地よい風味が愉しめるイエローラベル・ブリュットや、“偉大な女性”を意味するラ・グランド・ダムがあります。ラ・グランド・ダムはその名の通り、マダム・クリコに捧げられたもので、19世紀初頭にマダム・クリコ自らが買い付けた８つの特級格付け葡萄畑で採れた葡萄だけを用い、ヴーヴ・クリコの伝統的なスタイルを尊重しながらブレンドしたものです。

イタリアのデザイナー・エミリオプッチとのコラボ品であるヴーヴ・クリコ ラ・グランダム エミリオプッチは、市場でも人気です。

ルイ・ロデレール

ランスに本拠を置く老舗ワイナリーで旗艦銘柄クリスタルに象徴されるように、優雅で豪華な雰囲気を漂わせるシャンパンです。年産250万本の準大手ながら、現在も家族経営を維持する稀有な生産者です。

ロシア皇帝アレクサンドルの専用品を造ったことから、クリスタルが誕生したことは有名な話です。

ルイ・ロデレールは、いち早くアメリカ・カルフォルニア進出を図り、また、シャンパーニュの名門ドゥッツやボルドーの名門ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドなどを買収し、ラグジュアリーなワイングループを構築しています。

ルイ・ロデレールは、自社畑214haを所有し、原料の3分の2を社内で賄うことで品質を維持しています。長期熟成原酒の混合比率が高く、重厚で深みのあるスタイルが特徴で、人気の高い商品にはブリュット・プルミエがあります。