アメリカのスパークリングワインは フランスのシャンパンや他のヨーロッパの国々のスパークリングワインと比べて個性化や高級化が遅れていました。
近年はカリフォルニアワインの高級化も進み、それに伴って本格的なスパークリングワインを手掛けようとする動きがみられます。
良質なスパークリングワインを手掛けるためには、冷涼な気候によりゆっくりと成熟した葡萄が必要ですが、いち早くカリフォルニアワインに代表されるアメリカは沿岸部に原料供給地を求め、ワインの普及品から上級品への飛躍を図りました。
アメリカのワインの中心カリフォルニアでのスパークリングワインの歴史は1859年アイザック・クックが手掛けたものといわれています。その後、1970年~80年代に活況を呈するようになりました。
1973年にモエ・エ・シャンドン社がカリフォルニアのナパ・バレーにドメーヌを設立し、州内にはスパークリングワインの生産者50のうち、10近くがヨーロッパ企業の傘下にあります。
1981年にはルイ・ロデール社は冷涼気候を求め、あまり注目されていなかったカリフォルニアの北部沿岸のメンドシーノに進出し、高品質化に成功したことから、他社も原料供給地をそれまでのナパ・バレーだけから見直すような動きもみられています。
主なアメリカのスパークリングワインには以下があります。
E&Jガロワイナリー E. & J. Gallo Winery
ガロ社は1930年に設立されたアメリカを代表する老舗ワイナリーで、生産規模は世界2位を誇っています。主な銘柄:アンドレブリュット
コーベル KORBEL
1882年、チェコスロヴァキア移民のコーベル3兄弟によって設立された老舗大手ワイナリー。瓶内二次発酵を用いる製造会社としてはアメリカで最古の会社。主な銘柄:コーベルブリュット
ジェイ・ヴィンヤーズ&ワイナリー J Vineyards & Winery
1986年ジョディ・ジョーダンがカリフォルニア・ソノマに設立し、瓶内二次発酵によるスパークリングワインで成功を収め、生産規模を拡大。主な銘柄:ジェイ・ヴィンヤーズ&ワイナリー ブリュット
シェッフェンベルガー Schlumberger
1981年にジョン・シェッフェンベルガーにより設立され、1998年~2004年まではパシフィック・エコーを名乗っていたが、メゾン・マルケス&ドメーヌの傘下となり元の社名が復活。冷涼な地の原料と瓶内二次発酵にこだわりホワイトハウスでも提供されるスパークリングワイン。主な銘柄:シェッフェンベルガー・ブリュット
シュグ・カーネロス・エステート Schug Carneros Estate Winery
1980年、ドイツ系移民のウォルター・シャグにより設立。所有地20haから年間3万ケースのワインを生産。瓶内二次発酵によるスパークリング・ピノ・ノワールを手掛ける。主な銘柄:ルージュ・ド・ノワール
シュラムスバーク・ヴィンヤーズSchramsberg Vinyards
カリフォルニア・ナパに1862年にシュラム夫妻により設立されたワイナリー。いくつかの所有を経て1965年に本格的にスパークリングワインの生産が本格化。カリフォルニアで初めてシャルドネとピノ・ノワールという伝統的品種を用いて瓶内二次発酵を手掛ける。
1972年ニクソン大統領時、周恩来首相との乾杯に供され、アメリカの代表的なスパークリングワインとなった。主な銘柄:ブランド・ド・ノワール、Jシュラム
ドメイン・サン・ミッシェル Domaine Ste. Michelle
ワシントン・シアトル近郊の大手ワイナリー。アメリカにおけるリースリングの先駆者として知られる。自社畑は1400ha超。スパークリングワインはシャルドネを瓶内二次発酵で仕上げ、瓶内熟成5年を経て出荷する旗艦銘柄ラックスが代表的。その他の主な銘柄:エロイカ・リースリング、ドメイン・サン・ミッシェル・キュヴェ・ブリュット
ドメーヌ・カーネロス Domaine Carneros
シャンパーニュ大手のテタンジェ社がアメリカのコブラン社と合弁で、ナパに設立。太陽光発電による二酸化炭素の排出量を制限するなど環境にも配慮したワイナリー。主な銘柄:ル・レーヴ・ブラン・ド・ブラン
フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー Francis Ford Coppola Winery
映画監督フランシス・コッポラが所有。1975年、ナパの名門ニーパムを買収してワイン業界に参入。主な銘柄:フランシス・コッポラ・ソフィア・ブラン・ド・ブラン
ベリンジャー・ヴィンヤーズ Beringer Vineyards
1869年、ドイツ系移民のベリンジャー兄弟が設立した老舗の大手で、ナパでは最古のワイナリーといわれる。シャルドネとカベルネ・ソーヴィニオンを得意とし、リザーヴ・シリーズはアメリカの代表的存在。主な銘柄:スパークリング・ホワイト・ジンファンデル
ロデレール・エステート Roederer Estate
カリフォルニア北部の大手。シャンパーニュの名門ルイ・ロデレールの海外子会社。自社畑は235haで、栽培から元詰まで自社で行う。果汁は一番搾りだけを使い、フランス本家と同じ熟成原酒リザーヴワインを大目にブレンド。主な銘柄:カルテット・ブリュット