シャンパン(シャンパーニュ)に代表されるスパークリングワインは世界各国で造られ、国や生産地、製法によって様々な呼称があります。
様々なスパークリングワインのタイプの違いを理解すると、楽しみ方の幅も広がりますね。
ヨーロッパでのスパークリングワインは、生産地の名前で呼ばれるものと法律で定められています。スパークリングワインとシャンパン(シャンペン・シャンパーニュ)が、同義語のように使われている場合をよくみかけますが、これは誤りということになります。
スパークリングワインは、気温20℃で3バール(約3気圧)以上のガス圧の発泡性ワインです。それに満たないガス圧のワインは、微発泡性(弱発泡性)ワインと分類されます。
フランス…シャンパン、ムスー、クレマン
イタリア…スプマンテ
スペイン…エスプモーソ
ドイツ…ゼクト
微発泡性のワインは、下記のような呼称で呼ばれています。
フランス:ペティヤン
イタリア:フリッツァンテ
ドイツ:パールヴァイン
スパークリングワインには、甘口、辛口など味わいによる分類がありますが、これらは、スパークリングワインに含まれる糖度(残糖度)によって分けられています。
●フランス(スパークリングワイン・シャンパーニュ)
極辛口 ブリュット・ナチューレ、パ・ドセ、ドサージュ・ゼロ(残糖度3g/l未満)、エクストラ・ブリュット(残糖度0~6g/l)
辛口…ブリュット(残糖度12g/l未満)、エクストラ・ドライ(残糖度12~17g/l)
中辛口…セック(残糖度17~32g/l)
中甘口…ドゥミ・セック(残糖度32~50g/l)
甘口…ドゥー(残糖度50g/l以上)
●イタリア
極辛口…ブリュット・ナトゥーレ(残糖度3g/l未満)、エクストラ・ブリュット(残糖度0~4g/l)
辛口…ブリュット(残糖度15g/l未満)、エクストラ・ドライ(残糖度12~20g/l)
中辛口…セッコ(残糖度17~35g/l)
中甘口…セミ・セッコ(残糖度33~50g/l)
甘口…ドルチェ(残糖度50g/l以上)
スパークリングワインは、発酵により生じる炭酸ガスをどのように蓄積するかが、製法の違いによるポイントとされています。
中でも、伝統的製法と呼ばれる瓶内二次発酵が基本となっています。
この瓶内二次発酵は、17世紀から広く行われています。
瓶内二次発酵はシャンパーニュ製法とも呼ばれますが、原産地保護の立場から、ほかの生産地ではこの呼び方を避ける傾向にあります。
瓶内二次発酵は製造工程が複雑なため、普及品には簡素化した製法が用いられています。
動瓶・滓抜き工程を簡略化し、瓶の移し替えを行うのがトランスファー方式です。二次発酵そのものを簡素化したものが、シャルマ方式です。このほか、瓶内一次発酵、炭酸ガス注入方式があります。
製造工程の簡素化が進むほど、品質が低下すると考えられています。
【瓶内二次発酵】
樽やステンレスタンクで一次発酵したワインと、リザーブワインをブレンドした後に瓶に詰め、瓶の中で二次発酵させ、炭酸ガスを発酵させる方法。シャンパーニュのほか、高級志向のスパークリングワインの多くがこの製法をとっています。
シャンパーニュ(フランス)、クレマン(フランス)、フランチェコルタ(イタリア)、カパ(スペイン)、ゼクト(ドイツ)など。
【トランスファー方式】
ドウビンと滓抜きを簡略化するため、いったん密閉タンクに写し、滓抜きをしてから瓶図目する方法。
アスティ・スプマンテ(イタリア)、プロセッコ(イタリア)など。
【シャルマ方式】
一般的にタンク内で二次発酵を行う方法。一次発酵の後、密閉耐圧タンクに原酒を入れ、糖分と酵母を加えて二次発酵を行います。若々しい果実味を残したい時に利用される方法で、量産に向いています。
ゼクト(ドイツ)など。