ワインの味や香りを決める大切な要素といえば、原料となるブドウです。
ワインの原料であるブドウ品種の特徴を理解しておけば、ワイン選びにも大きく役に立ちます。ここでは、赤ワインの主なブドウ品種と、その特徴について触れます。
赤ワイン用の主なブドウ品種
ボルドーを代表するブドウ品種で、世界で最も人気のある赤ワイン用のブドウ品種です。
ボルドーの五大シャトーのワインは、全てカベルネ主体で造られています。近年ではアメリカ・カリフォルニアやオーストラリアなど新世界の地域でも優れた品種のワインを生んでいます。
ボルドーではメルロやカベルネ・フランなどとブレンドされるのが一般的ですが、その他の地域では単一品種で使われることもあります。
ワインの色合いは濃い赤紫色で、味わいはきめ細かい渋みに富み、重厚かつ雄大です。カベルネ・ソーヴィニヨンは、長期熟成に耐えるのも特徴で、ボルドーの上級ワインは何十年もの熟成を経て、他に類をみない方向と優雅な味わいを開花させるといわれています。
主な産地:フランス・ボルドー左岸地区、イタリア・トスカーナ、チリ、アメリカ・カリフォルニア、オーストラリアなど
味と香りの特徴:豊かな渋み、重厚感 ブラックベリーやカシスの香りなど
フランス・ブルゴーニュを代表する赤ワイン用品種です。近年ではアメリカのカリフォルニアやオレゴンなどでも造られますが、ブルゴーニュの伝統的なピノ・ノワールの場合、ワインの色合いは明るいルビー色となるのが一般的です。
香りは華やかでラズベリーやチェリー、なめし皮、森の草などの要素も感じられるといわれます。口当たりは、エレガントで繊細、そして心地よい酸味で、芯のしっかりした奥深い味わいが楽しめます。
ロマネ・コンティに代表されるブルゴーニュの偉大な赤ワインは、ピノ・ノワール100%で造られます。 主な産地:フランス・ブルゴーニュ、アメリカ・カリフォルニア、ニュージーランドなど
味と香りの特徴:心地よい酸味に富み、若い間はフルーティ、熟成によりアロマな香り ラズベリーやチェリーの香りなど
フランス・ボルドーで最大の栽培面積を誇っているのがメルロで、近年はカベルネ・ソーヴィニヨンを凌ぐ勢いの人気を誇っています。ペトリュスに代表される、ボルドー右岸地区のものが有名です。
メルロの赤ワインの色合いは、深みある美しい赤紫色となるのが一般的で、香りは豊潤で、ブラックベリーやダークチェリー、プラムなどを熟したような果実香が豊かです。
タンニンの渋みや酸味は穏やかで、ビロードのような味わいとしばしば表現されます。 日本などで造られるメルロは、比較的軽い味わいといわれています。
主な産地:フランス・ボルドー右岸地区、北イタリア、チリ、アメリカ・カリフォルニア、日本・長野など
味と香りの特徴:芳醇で滑らかな口当たり プラムやブラックチェリーの香りなど
フランス・ローヌ地方を代表するブドウ品種で、単一品種あるいはグルナッシュなどとブレンドされます。オーストラリアではシラーズと呼ばれ、主要品種となっています。
ワインの色は青みがかった濃い紫色で、香りはフルーティかつ、スパイシーです。アルコール分も高く、味わいは重厚で飲みごたえあるワインとなります。
質の悪いシラーのワインは薄っぺらい味わいや臭いが出やすいといわれており、優良生産者の品を選びましょう。
主な産地:フランス・ローヌ地方、オーストラリアなど
味と香りの特徴:力強く、重厚な味わい ユーカリ、チェリー、スミレの花などの香り
フランス・ローヌ地方南部で最も重要な品種で、単一品種あるいはシラーなどとブレンドされます。
スペインではガルナッチャと呼ばれ、比較的気温の高い地域で盛んに栽培されています。
色合いは、オレンジがかった濃い赤色で、香りはラズベリー、カシス、プラムなどの果実香です。
ワインを飲みなれていない人でも親しみやすい、柔らかな味わいです。
主な産地:フランス・ローヌ地方南部、スペイン、アメリカ、オーストラリアなど
味と香りの特徴: ラズベリー、カシス、プラムにハーブを思わせるスパイシーな香り 豊かで柔らかな口当たり
イタリアの代表的な赤ワインの品種です。特にトスカーナやロマーニャなどで栽培され、近年はアメリカ・カリフォルニア、オーストラリアでも栽培量が増加しています。濃いルビー色から黒味がかった赤色まで多彩な色合いのワインとなります。優れたサンジョヴェーゼのワインは、プラムのように香りを放ち、フルーティーで、味わいはドライで深みのあるものとなります。キャンティの主要品種としても知られています。
主な産地:イタリア中部
味と香りの特徴: フルーティで深みのある味わい プラムやチェリーなどの香り
その他の赤ワイン用のブドウ品種には、カベルネ・フラン、ガメイ、ムールヴェドル、テンプラニーリョ、マルベック、ドルチェット、タナ、カリニャン、ピノタージュなどがあります。