ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム 1993年

今回は、黄色いラベルでお馴染みのヴーヴ・クリコ社のラ・グランダムというシャンパンをお買取しました。
ヴーヴ・クリコ社は、銀行家だったフィリップ・クリコが1772年に創業し、1775年に世界で初めてロゼ・シャンパンを出荷したことでも知られています。
また、シャンパン業界の逸話には女傑が多く登場しますが、このヴーヴ・クリコ社にもマダム・クリコという女性が登場します。
マダム・クリコは、ヴーヴ・クリコ社の創業者の息子であるフランソワ・クリコと結婚した女性で、本名はニコル・バルブ・ポンサルダンといいます。
結婚した時はフランス革命中で暴動が起きるなど治安が酷く乱れていたために、地下の洞窟で結婚式を挙げたそうです。
それから4年後に夫のフランソワ・クリコが他界してしまい27歳という若さで未亡人となってしまいます。
しかしこの大きな困難に負けずに、夫のシャンパンへの想いを継いで3代目社長として活動し、1810年にヴーヴ・クリコ・ポンサルダンという社名に変更しています。
ちなみに社名のヴーヴ・クリコとはクリコ未亡人を意味しており、マイナスな印象をプラス変えた商才がうかがえます。
そんなクリコ夫人は、ナポレオン戦争中には販路を拡大させ、ロシア帝国の王室へのセールスに成功しており、「ロシアの上流階級はクリコしか飲まない」といわれるようになりました。
また、シャンパン製法の開発にも力を入れており、現在では一般的となっているボトルを回転させ澱(おり)を集めるルミアージュなどの製法を生み出したことで、濁っていたシャンパンが透明になりました。
後に、第1次世界大戦や第2次世界大戦でブドウ畑や設備にダメージを受けますが見事に復活を遂げています。
時代の変動に負けないヴーヴ・クリコ社は「品質はただ1つ、最高級品だけである」というクリコ夫人の想いを貫いており「生きる芸術」そのものなどと評価されています。
今回は、8ヶ所のグラン・クリュのブドウをブレンドし、少なくとも6年の歳月をかけて造られヴーヴ・クリコ社の中でも最高峰といわれているラ・グランダムを外箱付きでその他のシャンパンもまとめてのお買取となりました。