シャトー・ムートン・ロートシルトについて
シャトー・ムートン・ロートシルトはポイヤック村にある第1級シャトーで、ボルドーの5大シャトーとして知られています。
はじめはシャトー・ブラン・ムートンという名で知られていましたが、1853年にシャトーを購入したナタニエル・ド・ロチルドにより、シャトー・ムートン・ロートシルトに改名されました。
今でこそ第1級シャトーの位置づけにありますが、1855年のボルドーワインの格付けではブドウ園のワインの当時の市価に基づいて決められていました。
しかし、シャトー・ムートン・ロートシルトもシャトー・ラフィット・ロートシルトと似通っていたにもかかわらず、第1級格付けから除外されていました。
この時にシャトーの所有者であったフィリップ・ド・ロチルド男爵は「恐ろしい不正」と言葉を発している事は有名な話ですが、一般的には格付けの直前にシャトーがイギリス人に買われ、フランス人の所有でなくなってしまった事が原因であると認識されています。
その後、1973年に当時農業大臣であったジャック・シラクがシャトー・ムートン・ロートシルトに対して第1級への昇格を認め、法律をも超えた存在としてシャトー・ムートン・ロートシルトは高い名声を手に入れました。
一方で、1980年にはロバート・モンダヴィとの合弁事業により、カリフォルニアのオークヴィルにオーパス・ワン・ワイナリーを設立しており、その活躍はフランス国内だけではなく、アメリカでも見られるようになりました。
シャトー・ムートン・ロートシルトのワイン
シャトー・ムートン・ロートシルトは収穫と瓶詰めを自ら行った初めてのシャトーで、ブドウ園ではカベルネ・ソーヴィニヨンが77%、メルローが11%、カルベネ・フランが10%、ピチ・ヴェルドが2%という割合で栽培されています。
収穫は手摘みで行い、収穫されたブドウはすべて選別台にのせられ、除梗の前に葉などを取り除いて完全な実だけを選びます。
シャトー・ムートン・ロートシルトの発酵槽はすべて木製で、このシャトーのそれぞれの区画で収穫されたブドウが正当なワイン醸造の技術に基づいて醸造され、マロラクティック発酵の後ブレンドされ、樽で18~22ヵ月間熟成します。
その間、4ヶ月に1回、伝統的な方法で澱引きを行っており、この手間と時間をかける事によって素晴らしいクラシックスタイルのワインを生み出しています。
また、1945年以降毎年、有名な画家たちに1枚の絵を描かせ、それエチケットデザインに起用しており、現在も高いコレクション性を保ってきました。
その他にも1953年のシャトー・ムートンの買収100年記念、1977年のイギリスのエリザベス2世とクイーン・マザー(エリザベス王太后)の訪問記念などの限定ラベルが存在します。
さらに、1年で2種類のラベルが使われた事もあり、1978年ではジャン=ポール・リオペルが2種類のデザイン画を提出し、どちらも起用した事、そして1993年では裸のニンフが描かれており、これはアメリカのATFに使用を拒否された事により、アメリカ市場向けのラベルが用意された事があり、常に話題を集めているのがシャトー・ムートン・ロートシルトのワインなのです。