蒸留酒と醸造酒の違い
一口に「お酒」といっても、ワインやウイスキー、日本酒、ブランデーなどその種類はさまざまですが、製造方法による分類では、「蒸留酒」「醸造酒」「混成酒」の3種類のみです。
「醸造酒」や「蒸留酒」という言葉は、お酒の表示でなんとなく目や耳にしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
醸造酒
醸造(じょうぞう)とは、穀物や果実などの糖質を発酵させ、アルコールを含んだ液体にすることです。
醸造したお酒「醸造酒」は、米や麦、ブドウといった原料を、酵母の働きによりアルコール発酵させてつくられたお酒です。
醸造酒の起源は古く、紀元前3000年頃のエジプト文明やメソポタミア文明にも記録が残されています。 醸造酒の例として、ブドウの果実を放置しておくと自然に泡が発生し、数日後にアルコールとなっていることがありますが、これは、ブドウの果皮についていた酵母の自然の働きによるものです。このブドウの酵母が果実中の糖分を炭酸ガスとアルコールに分解してつくられたアルコールがワインです。
また、日本酒の場合は麹を使って発酵を進めたアルコールです。こうして出来上がったアルコールを熟成・ろ過して、「醸造酒」は出来上がるのです。
ワインのように、原料がすでに「糖分」を含んでいるものを「単発酵酒」といいますが、その他、原料が米、麦など、原料の穀物等のデンプンを糖に変え、その後にアルコール発酵させる「複発酵酒」、また、糖を作る「糖化」とアルコール発酵を別々に行う「単行複発酵酒」があります。 さらに、糖化とアルコール発酵を同時に行う「並行複発酵酒」があります。
蒸留酒
蒸留酒とは、簡単にいってしまえば「醸造酒」に「蒸留」という工程を加えたお酒です。わかりやすい例でいえば、ブドウをアルコール発酵させたのが「ワイン」、ワインを蒸留すると「ブランデー」になります。
蒸留酒はスピリッツ(Spirit)とも呼ばれ、基本的にはアルコール度数が高いもので、蒸留後に加水した場合でも蒸留酒に分類されます。
蒸留(じょうりゅう)とは、アルコールを含む液体を沸騰させることで、水よりも沸点の低いアルコールの気体を集めて冷やすことを蒸溜といいます。それによって、より純度の高いアルコールを採取できるのが特徴です。つまり、蒸溜酒は、醸造酒のアルコール分を抽出したお酒なのです。醸造ではアルコール度数20%程度が限界といわれています。
蒸留酒の起源はよくわかっていませんが、「蒸留」のために必要となる蒸留機は、紀元前3000年頃のメソポタミア文明で、花の蜜を集めて香水を作るために蒸留機が発明され、蒸留機を使って醸造酒を蒸留したのは紀元前750年に古代アビニシア(現:エチオピア)でビールを蒸留したのが始まりとされています。
またギリシャ時代、アリストテレスが「海水を蒸留すれば飲める水がつくられる」と蒸留に関して初めて記録に残されました。
先に述べた「混成酒」とは、「醸造酒」や「蒸留酒」を原料にして、 草根木皮、薬草、香味、果実、糖分など配合したお酒です。一般的には、リキュールという名前で親しまれています。
醸造酒…ビール、ワイン、日本酒、紹興酒など
蒸留酒…ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジン、ラム、ウォッカ、テキーラなど