スピリッツとは~4大スピリッツの特徴
スピリッツの語源は、酒の精を意味する"Spirit"に由来するもので、国際的にはすべての「蒸留酒」を意味しています。
発酵を利用した酒造りは、文明以前にさかのぼるとされますが、蒸溜酒がつくられるようになったのは、いつ始まったのかは不明です。
蒸留酒は、ワインやビールよりも新しいお酒で、広くつくられるようになったのは11~12世紀頃からではないかといわれています。
スピリッツは、蒸溜酒全般を指す名称ですので、広い意味ではウイスキーやブランデーなども含まれますが、日本の酒税法上は、ウイスキー、ブランデー、焼酎を除く、エキス分2%未満の蒸溜酒がスピリッツ類と分類されています。
スピッツの中でも4大スピリッツといわれるのが、カクテルの材料としても広く親しまれているジン・ウォッカ・テキーラ・ラムです。
ジン
元々はオランダで薬用酒として造られていたという歴史を持っています。ジンの原料は大麦麦芽やトウモロコシなどの穀物を糖化、発酵、蒸溜し、その後、ジュニパー(セイヨウネズ)などのボタニカル(草根木皮)でフレーバーがつけられ、再蒸溜しています。ジン独特の鋭い切れ味や口内に広がる香りは、このボタニカルな薬草成分由来のものです。
代表的なジン…ボンベイサファイア、ビーフィーター、タンカレー、シュタインヘーガーなど
ジンベースの主なカクテル…マティーニ、ギムレット、ジン・フィズ、シンガポール・スリングなど
ウォッカ
ほとんどのウォッカの原料はライ麦か小麦といった穀物で、仕込み、蒸留し、白樺などの活性炭で濾過処理をしたものがウォッカです。濾過しているため、雑味成分を取り除いたクセのない蒸溜酒です。
無色透明なウォッカのほか、果実や香草などで香りづけをしたフレーバードウォッカがあり、ロシア、アメリカ、東ヨーロッパ、北ヨーロッパなどでつくられています。アルコール分は40~50%前後のものがよく飲まれており、一般的に冷たく冷やしたストレートで飲まれますが、ウォッカはクセがなくすっきりとライトな味わいのため、さまざまなカクテルベースとしても使われています。
代表的なウォッカ…ストリチナヤ、ズブロッカ、スミノフ、スピリタスなど
ウォッカベースの主なカクテル…ウォッカ・トニック、モスコーミュール、ブラッディ・マリー、スクリュー・ドライバーなど
テキーラ
テキーラはメキシコを原産地とするアガベ・テキラーナ・ウェーバー・ブルーとよばれる竜舌蘭の一種を糖化、発酵、単式蒸留で2回蒸溜してつくられるスピリッツです。
メキシコの地酒として飲まれ続け、テキーラの名が世界中に広まったのは20世紀に入ってからですが今や4大スピリッツのひとつとしてその名を馳せています。
テキーラには原料と熟成期間によっていくつかの種類が存在します。 原料の使用割合によって、アガベ100%使用の「100% De Agave」と、アガベ51%以上を使用し、他に砂糖やブドウ糖などで補糖した「Mixtos」のふたつに分類されます。 品質区分もNOM(メキシコ政府公認規格 Norma Oficial Mexicana)で管理されており、貯蔵熟成の有無、熟成期間などによって、ブランコ Blanco、ホーベン(ゴールド) Joven、レポサド Reposado、アニェホ Añejo、エクストラ・アニェホ Extra Añejoなどに分類されています。
代表的なテキーラ…ドンフリオ、カーマ、カーサミーゴス、カサ ノブレなど
テキーラベースの主なカクテル…マルガリータ、マリアテレサ、アイスブレーカー、テキーラサンライズなど
ラム
カリブ海の西インド諸島生まれのスピリッツで、サトウキビ、糖蜜、あるいはその他の精製後の残留物が原料となっています。カリブ海、ラテン諸国、ネパールなどでつくられ、色の濃淡でホワイトラム・ゴールドラム・ダークラムに分けられています。
風味による分類では、ライトラム・ミディアムラム・ヘビーラムに分けられます。ラムは、カクテルベースの他、製菓用としても幅広く使われています。
代表的なラム…ロン・サカパ、キャプテンモルガン・スパイスト、バカルディ スペリオールなど
ラムの主なカクテル…モヒート、ダイキリ、マイアミなど