ウイスキー5大産地~カナダ
カナダ国内でカナダの法律にしたがって造られるウイスキー“カナディアンウイスキー(Canadian whisky)”の起源には諸説ありますが、ウイスキー造りが始まったとされるのは、18世紀後半と世界の5大ウイスキーの中でも比較的最近です。
アメリカの独立戦争が終わった後、独立に反対していた人々がカナダに移住し、ウイスキー造りを始めたといいます。
そのカナディアンウイスキーはアメリカで評判となり、さらにアメリカで禁酒法が制定されると、カナダでは酒の輸出制限がなかったため、大量にアメリカにカナダのウイスキーが密輸され、カナダのウイスキー業界は大繁栄しました。
密輸時代の後も、アメリカでのカナディアンウイスキーの地位は不動で、現在もカナダのウイスキーの大半はアメリカへ輸出されています。
カナディアンウイスキーの特徴
カナディアンウイスキーの基本はブレンデッドウイスキーです。基本的にはベースウイスキーとフレーバリングウイスキーをブレンドして造られます。
ベースウイスキー…主原料にコーンを使い、連続式蒸溜機で蒸溜される。癖がなくマイルドに仕上がる。
フレーバリングウイスキー…原料に大麦やライ麦を使い、連続式蒸留機で蒸留し、さらに 単式蒸留機で蒸留を重ねる。さわやかな刺激のスパイスのような役割を果たす。
この2つのタイプを合わせることで、カナディアンウイスキー独自のすっきりとした軽快な味の、飲みやすいウイスキーに仕上がるといいます。
カナディアンウイスキーの主な蒸溜所
カナディアンクラブ蒸溜所
カナダのウイスキーの代表的ブランドといえば、カナディアンクラブです。カナディアンクラブ蒸溜所はカナディアンクラブなどを造る蒸溜所で、若き青年実業家だったハイラム・ウォーカーが、カナダ最南端のオンタリオ州ウォーカーヴィルで、1856年に酒造会社を創業し、樽販売されていたウイスキーを、製造保証書付のボトルで販売し成功を収めました。
当初、このウイスキーは紳士の社交場であるジェントルマンクラブで人気だったことからクラブウイスキーと呼ばれていましたが、アメリカに輸出するときに、区別のため、アメリカ合衆国政府の要望でカナディアンクラブと名付けられたといいます。
ギムリ蒸溜所
カナダのもう一つの蒸溜所として紹介するのは、2000年に酒類業から撤退したシーグラム社の最後に残った蒸溜所であるギムリ蒸溜所です。シーグラム社はカナダのオンタリオ州で1857年に創業し、英国ジョージ6世のカナダ訪問を記念して造られたクラウンローヤルなどを販売していました。
現在はディアジオ社が所有していますが、1940年代後半にフォアローゼスを買収した経緯から、ギムリ蒸溜所で造られるウイスキーにはフォアローゼスがブレンドされていることが多いそうです。
カナディアンウイスキーの代表的な銘柄
カナディアンクラブ
シーグラムVO
クラウンローヤル
ブラックベルベット
アリストクラト
グレンブレトン
グレンブレトンは、ブレンデッドウイスキーが主流のカナディアンウイスキーには珍しいシングルモルトです。このシングルモルトは、スコットランドにゆかりの深いノヴァ・スコシア州にあるグレンオラ蒸溜所で造られ、原料の大麦、ピートはスコットランドから輸入しています。
水は北米で最も透明度が高いと評判のマクレラン川のものを使用して造られ、トフィー(バターと共に糖蜜または砂糖を加熱して作る菓子)やフルーツの風味のしっかりした甘みのあるシングルモルトです。