ウイスキーの香りについて
ウイスキーを楽しむにあたっては、色、香り、味の3つがポイントといわれます。
ウイスキーが造られる過程では、様々な芳香成分が溶け込み、複雑で味わい深い香りが生み出されます。ウイスキーの香りを楽しんでこそ、ウイスキーの持つ本当の価値を知ることができるともいわれます。そこで今回は、知識と経験豊富なバーテンダーによるウイスキーの香りのいろいろについて紹介します。
ウイスキーの香りを楽しむには?
ウイスキーの香りを楽しむなら、よく洗って乾かしたクリスタルグラスを準備しましょう。クリスタルグラスは特別なものでなくてもよいそうですが、他のにおいがグラスについていないことを確認してから使いましょう。
グラスにウイスキーを注ぎ、ウイスキーをしばらく空気に触れさせてから、グラスをそっと鼻に近づけ、香りを楽しみます。
ウイスキーは多くの香りが折り重なって現れたり、時間が経つと違う香りが現われたりするなど、決してシンプルなものではないといわれています。
代表的なウイスキーの香り
スモーク香
麦芽を乾燥させるときに使われるピートに由来する香りで、ピート香、スモーキーフレーバーともいわれます。世界各国のブレンダーはスモーキーという香りをさらに「ピーティー」「メディシナル」「ハーシュ」と、3つに分類しています。 「ピーティー」は、燻製のような芳しい香りで、スモーキーの中でも特に良い香り、「メディシナル」はピートに含まれる成分のヨード香(薬品臭)を指します。「ハーシュ」はあまり感じの良くない香りの場合に用いられる表現です。
木の香り
ウイスキーの香りの表現のひとつに“森の中にいるような少し焦げた木の香り”と表されることがあります。これは樽熟成によるところが大きく、最も多く使われているのがオーク樽です。
熟成に使われる樽が違えば、ウイスキーの木の香りも変わります。シェリー酒の空き樽や、バーボンウイスキーの貯蔵に使われた空き樽などを使うのが一般的で、木の香りが強い新樽は、原酒そのもののもつフレーバーを壊してしまうこともあり、使いこなすのが難しいともいわれます。
穀物香
原料である穀物の香りはウイスキーの基本です。大麦、ライ麦、トウモロコシなど原料ごとに香りは変わります。一般的に、大麦麦芽は香ばしい穀物香、ライ麦は胡椒のようなスパイシーな香りといわれます。
ハーブ香
ライ麦を原料とするウイスキーはハーブ香が強くなる傾向が知られています。
フラワー香
スコットランドの代表的な花であるヘザーの香りは、スコッチウイスキーならではのものです。またフルーツは原料に含まれませんが、発酵の段階で柑橘系やリンゴ、洋ナシなどを思わせる香りが含まれます。
フルーツ香
フラワー香と同様、フルーツやスパイスは原料ではありませんが、発酵からくるフルーツ香があります。軽やかなウイスキーに多くみられます。
甘い香り
原料の穀物由来の草っぽい甘い香りに加え、ヘザーやシェリー樽に由来するものもあります。また、熟成が進むと香りに甘みが帯びることもあります。
海の香り
ピートや使用する仕込み水に由来する香りです。また、蒸溜所が海の近くである場合、熟成期間中に海の香りが添加される場合もあります。