コニャックとアルマニャックの違い
ブドウを原料としたお酒の代表格であるワインと並ぶお酒には、ブランデーがあります。
ブランデーは、ブドウから醸造したワインを、さらに蒸留したものですが、ブランデーの中でも、フランスのコニャックとアルマニャックは、双璧をなすといわれています。
コニャックとアルマニャックの大きな違いは産地で、コニャックは、フランスのボルドーの北側、アルマニャックは南側に位置しています。
どちらかというとハイクラスなブランデーのイメージの強く、世界中の人々から愛されるコニャックに比べ、アルマニャックは地酒的な存在と思われがちです。しかし、コニャックにも様々なランクがあり、アルマニャックもAOC(原産地呼称統制法)によって厳しく保護・管理され、芳醇な香りが漂う若返りの媚薬とも称えられるリキュールです。
17世紀に生産が始まった蒸留酒であるコニャックは、生産者の多くが大規模なのに対し、アルマニャックは小規模生産者が中心です。
両者の味わいでの違いは、コニャックが繊細でエレガントであるのに対し、アルマニャックはえぐみがあり、力強く野趣に富んだ個性があるといわれます。
コニャックとアルマニャックで使われる認可されたブドウの品種は、ほぼ同じです。最良ブドウ品種としては両者ともにユニ・ブランで、その他、フォルブランシェ、コロンバールなどがあります。
コニャック・アルマニャックと並び称されるものにカルヴァドスがありますが、これはブドウが原料ではなく、リンゴや洋ナシを使ったノルマンディー地方の蒸留酒です。
コニャック 格付け・産地による違い
コニャックは6段階、アルマニャック は3段階に分けられています。
上にいくほど高品位な土壌とされています。
【コニャック】
グランド・シャンパーニュ
プティット・シャンパーニュ
ボルドリ
ファン・ボア
ボン・ボア
ボア・ゾルディネール
【アルマニャック】
バ・アルマニャック
テナレーズ
オート・タルマニャック
熟成期間による等級の違い
ブランデーの熟成年数を表す単位にコントというものがあります。このコントの数値によって等級が決まっていきます。コニャックやアルマニャックは、一般的に様々な熟成年数の原酒を混合して造られていますが、その際の最低熟成年数のことをコントといいます。
コニャックは全国コニャック事務局(BNIC)、アルマニャックは全国アルマニャック事務局(BNIA)というフランス事務局により、厳正な基準が定められています。
コントの基準はコニャックとアルマニャックで若干違いがあり、コニャックは4月1日~翌年3月末日まで、アルマニャックは5月1日~翌年4月末日までという周期で、コントの数値が変わります。
樽の原酒はコント0と数えられ、コント0が熟成1年目、コント1が熟成2年目となります。コントによる等級の違いは下記のとおりで、上にいくほど高い等級とされています。
ただし、等級は公的なものではないため、製造者によって差異があります。呼称自体統一されておらず、各メーカーが様々な呼称を付けている場合があります。
【コニャックの等級】
オル ダージュ(Hors d’âge) コント6以上
X.O.(Extra Old) コント6以上
Napoleon(ナポレオン)コント6以上
V.S.O.P.(Very Superior Old Pale) コント4以上
V.S.(Very Special) コント2以上
☆☆☆(スリースター) コント4以上
【アルマニャックの等級】
X.O.(Extra Old) コント5以上
Napoleon(ナポレオン) コント5以上
V.S.O.P.(Very Superior Old Pale) コント4以上
V.O.(Very Old) コント4以上
V.S.(Very Special) コント2以上
☆☆☆(スリースター)コント1以上
土壌
コニャック:石灰質土壌(グランド・シャンパーニュ地区)
アルマニャック:粘土砂質土壌(バ・アルマニャック地区)
蒸溜方法
コニャック:単式蒸留2回
アルマニャック:単式蒸留または連続式蒸留1回
熟成方法
コニャック:リムーザンまたはトロンセ産のオーク樽(300L入り)を使用。
アルマニャック:ガスコーニュ産のオーク樽(400L入り)を使用。
特徴
コニャック:洗練されたエレガントな香りで、口当たりが繊細でしなやか。
アルマニャック:鮮明で野趣に富んだ力強い香りで、味わいは骨太で重厚。
コニャックの主な銘柄 レミー・マルタン Rémy Martin、カミュ Camus、ヘネシー Hennessy、マーテル Martellなど
アルマニャックの主な銘柄 シャトー ド ラキー、シャボー、ジェラス、デュペイロンなど