今回、【お酒買取いわの】がお買取したお品物は大黒というブランデーで、日本で造られたブランデーです。
1点ではお値段をつける事ができなかったため、12本まとめての評価で買取を行いました。
また、現在では造られていないブランデーで、特級表示がある事からアルコール度数43度の1989年以前に流通していたお酒という事になります。
大黒を造っていたのは大黒葡萄酒という会社で、ブドウの栽培とワイン醸造を行うために現在の甲州市に設立された大日本山梨葡萄酒会社の宮崎光太郎によって設立された甲斐産葡萄酒醸造場が歴史のスタートとなっています。
宮崎光太郎はフランスへ留学してワイン造りを学んできた人物で、大日本山梨葡萄酒会社が解散した時に醸造器具類を買取り、甲斐産葡萄酒醸造場を開設しました。
この時に「大黒天印甲斐産葡萄酒」と命名し、大黒ブランドが誕生しました。
その後、販路を拡大するために東京日本橋に販売店とブドウ酒の東京工場を開設しました。
順調に運営を続けていましたが、1962年に三楽(現・メルシャン)に買収され、三楽と合わせて総合洋酒メーカーになりました。
さて、そんな歴史のある大黒をお買取したのですが、当時の大黒は広告にも力を入れていたようで、首にかかっている札には「本券を五枚以上おまとめの上、本社洋酒部ご愛飲家サービス係宛お送りください。一枚三十円の割合でお引き換えいたします。」という記載があり、この他にもポスターなどを手掛け、販路を拡大していたようです。
大黒は辛口のブランデーという評価もあり、今では中古市場でなければ入手する事ができない貴重な日本のブランデーです。