今回いわの美術がお買取りしましたのは、ガラス工芸家ルネ・ラリックが立ち上げたラリック社のショットグラス6客です。
お買取りしたショットグラスは、フクロウが描かれている物と子供が描かれている物の2種類で、レリーフのように浮き上がった作風が特徴となっています。
大きいショットグラスは、ユロットというシリーズでフランス語にすると森フクロウという意味になります。
フクロウはラリックが幸運という意味で好んで使っているモチーフですが、フクロウが幸運の鳥というのは世界中で知られています。
その理由は、フクロウを「不苦労」、フクロウのフクが福来の「福」、知恵を表す「袋」という漢字に当てられたり、ディズニーのくまのプーさんに出てくる「オウル」というフクロウは物知りな長老というキャラクターから、縁起が良く知恵の象徴とも言われています。
小さいショットグラスはアンファンというシリーズのショットグラスで、アンファンとはフランス語で子供という意味を指します。
お買取りしたショットグラスに描かれているフクロウと子供は、ラリックの伝統的な艶消し技法が施された事により、柔らかい印象の作品に仕上がりました。
ルネ・ラリックについて
今回お買取りしたショットグラスは、ガラス工芸家であるルネ・ラリックが1926年に創業した工房ラリックから発売された作品です。
ルネ・ラリックは、フランスシャンパーニュ地方マルヌ県にあるワインの生産地として有名なアイ村で生まれました。
16歳の頃パリにある装飾美術学校に入学し、同時に貴金属細工師のルイ・オーコックへ弟子入りして装飾の技術を学びます。
その後もっと技術力を身に着けるべく18歳から20歳までイギリスに滞在しサイデナム・カレッジで装飾を学び、帰国後はフリーのデザイナーとして活動するようになりました。
35歳では高級ブランド店が並ぶ事で有名なヴァンドーム広場にアトリエを出し、カルティエなどの高級アクセサリーを扱う店舗へ作品を提供するようになります。
しかし1905年頃には、ファッションの流行がスタイリッシュなものへ変わった事により派手な装飾の人気が下がり、それと同じくラリックの人気もかなり落ちました。
これを機に今まで作品の一部にしかガラスを使っていなかったラリックは、本格的にガラスのみの工芸品を製作するようになり、1922年アルザス地方にガラス工芸品製作工場を建設した頃からラリックの人気が再び上がり、現在に至ります。
ラリック作品は日本でも人気が高く、現在秋田県にある大森美術館、滋賀県にある成田美術館、神奈川県にある箱根美術館などでラリックの作品が展示されています。
~ラリックの買取についてはこちらへ~