商品詳細
今回、【お酒買取いわの】がご紹介するお品物は、以前【お酒買取いわの】がお買取りした大辻朝日堂薩摩錫器です。
錫で出来た酒器は熱伝導率が高く保冷や保温性に優れている事、分子が荒く不純物を吸収する特性を持ち、水を浄化する事から、酒の味をまろやかにし、酒の味を引き立てると昔から使われてきました。
近年では高級料亭などで出される事も多く、普段飲んでいるお酒も錫製の酒器に入れると一味違うと愛用する人が増えてきました。
薩摩錫器は明暦元年に錫山で八木主水生元信によって錫鉱脈が発見され、薩摩藩当主・島津光久が幕府より採掘許可を得てから生産されるようになり、薩摩藩の財政源にもなっていました。
その後、当時の職人や弟子、その縁者によってのれん分けされるようになると「薩摩錫器組合」が結成され、鹿児島の商業会議所に事務局が置かれていました。
こうして薩摩錫器は鹿児島の特産品として全国に名を馳せていきましたが、戦争の煽りを受け、鹿児島にあるほとんどの錫器業者が廃業してしまい、薩摩錫器組合は解散してしまいました。
その中で生き残った朝日堂は戦後になってから有限会社大辻朝日堂と改名し、現在も伝統的な製法を守りながら錫製品の製作にあたっています。
薩摩錫器は梨子地肌に味わい深さのあるお品物で、その地肌の良し悪しは錫を型に流し込む最初の段階で決まってしまうといわれています。
そのため、職人の手作業で行われるため、職人の腕には熱せられた錫が跳ねた跡があり、虫にさされたように赤くなってしまうそうです。
お買取りした薩摩錫器の大辻朝日堂でもこの技法にこだわりを持っており、細やかな梨子地肌が暖かみのある上品な輝きを放った素敵なお品物でした。